マクラーレンが予想する2050年のフォーミュラ1
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マクラーレンが描く30年後のF1マシン…90度コーナーを時速400kmで疾走、レース戦略担当は人工知能

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マクラーレン・グループ傘下の研究開発機関、マクラーレン・アプライド・テクノロジーズが、今から31年後のF1マシンとグランプリの姿を予想。彼らが「MCLE」と呼ぶそのビジョンを描いたCGレンダリングが公開された。

第二次大戦後間もない1950年に、イギリスのシルバーストン・サーキットで初開催されたF1世界選手権は、31年後の2050年に創設100年の節目を迎える。過去70年の間に9種類のエンジンが投入されてきたが、マクラーレンが考える未来のF1では内燃機関は消滅し、時速500kmをも可能にする暴力的なまでの性能を秘めたEVモーターがマシンを駆動する。

マクラーレンが考える2050年のF1マシン

マクラーレンが考える2050年のF1マシン

各国の政府はゼロエミッション車の普及を推進しており水素自動車の開発も盛んだが、マクラーレンはF1が電動化=EVへとシフトすると予想。マシンには複雑なエアロパーツは存在せず、ダウンフォースの大部分をフロアとディフューザーで発生させ、トップスピードは現在より150kmも上回る時速500キロメートルに到達する。充電はワイヤレスで行われ、10〜30秒でバッテリーの約10〜50%の充電が完了するようになるという。

ピット戦略などを含めたドライビング周辺のあらゆる物事は人工知能によって処理・判断され、AIは副操縦士役としてドライバーをサポートする。ドライバーはヘルメット内のシンボリックリンクとレーススーツ内のセンサーを介してAIに接続。AIはドライバーの好みや心の状態を学習・予想し、ホログラフィック・ヘッドアップディスプレイを介してレース戦略や重要情報をリアルタイムで提供する。

マクラーレンが考える2050年のF1マシン

マクラーレンが考える2050年のF1マシン

コックピットは透明な硬質素材で覆われ、ドライバーの姿が外から一目瞭然。センサーを用いてドライバーの感情が読み取られ、怒りや興奮といったドライバーのリアルタイムの感情がマシンのボディワークとタイヤに投影される。マシンが高性能になるのとは対照的に、スポーツの主役にドライバーが帰ってくる。

マクラーレンが考える2050年のF1サーキット

マシンの高速化に伴い、既存のサーキットは再設計を迫られる。コーナーには従来では考えられないようなバンクが必要となるためだ。更に、近年人気の高まっている市街地コースでのレース数も増加する。ほぼ垂直のバンクを追加することで、町中で時速400キロ近いスピードを出しながら90度コーナーをアクセル全開で曲がるF1マシンの姿が見れるようになる。

マクラーレンが提案する2050年のF1レーシングスーツ

時速500kmという高速域でのレースでは、これまで以上に大きなGフォースがドライバーを襲う事になる。F1ドライバーは戦闘機パイロットが経験するのと同じレベルの強烈なGに耐える必要が出てくる。これに対処するため、レーシングスーツはGスーツと同様の技術を採用。血液が足や足に溜まり脳へ血流が不足するのを防ぐため、ドライバーの下肢を圧迫するなどの機能が搭載される。

2050年のF1グランプリの予想図

Photos by Mclaren