FIA主催のドライバーズプレスカンファレンスに出席するケビン・マグヌッセン(ハース)、2024年5月16日F1エミリア・ロマーニャGP
Courtesy Of Haas

現行F1は「本当に些細なことでレース出場停止」の危機に晒されるとマグヌッセン、米国方式に学ぶべきと主張

  • Published:

ペナルティポイント・システムを含む現行のF1ルールについてケビン・マグヌッセン(ハース)は、「非常に些細なことでレース出場停止」の危機に晒されるとして不満を示し、F1はインディカーやIMSAなどのアメリカンモータスポーツに学ぶべき点があると主張した。

マグヌッセンは前戦マイアミGPで複数回に渡ってレギュレーション違反を犯し、計5点のペナルティポイントを科された結果、今シーズン中に後2点が科されると1レースの出場停止となる事態に直面した。

10点の中の7点はウィリアムズの2人のドライバーと角田裕毅(RBフォーミュラ1)に対する衝突の責任を問われて科されたものだが、残りの3点はトラックリミット違反に関するものだった。コース外走行による違反にペナルティポイントが科されるケースは珍しい。

第7戦エミリア・ロマーニャGPを前にマグヌッセンは、「次は出場停止になるから、そうせざるを得ないと思う」と述べ、更なるペナルティポイントを回避するために、今後は控えめなドライビングを心掛ける意向を明らかにした。

また、僚友ニコ・ヒュルケンベルグの入賞をサポートするために採ったルイス・ハミルトン(メルセデス)に対するマイアミでの走りについては「チームメイトのためのサポート役を担わなきゃならない状況で功を奏したわけで、僕らにとっては有益だった」とも語った。

「それ(出場停止)が可能になっている現行ルールのあり方は好きじゃないし、そうでなくなる事を望んでいるけど、ルールがそうなっている以上はどうしようもない。僕がルールを作ったわけでもないしね。ただ見直すべき点はあると思う」

「走路に引かれた一部の白線の外側を走行した事でレース出場停止の危険に晒されているわけだけど、それが正しいのかどうかはわからない。ルールがそうなっている以上、それを受け入れるけど、そこには改善の余地があると感じている。単にポイントの面だけでなくね」

「このルールが導入された当時と比べて今は(年間に行われる)レース数が増えているわけで、本当に些細なことで事実上のレース出場停止処分になり得ると感じている。これが僕の意見だ」

FIAは現在、コースアウトして永続的なアドバンテージを得たドライバーに対し、ドライブスルー・ペナルティーを科す事を検討しているが、IMSAスポーツカー選手権のフルシーズンと並行してマクラーレンからロード・アメリカに参戦した経験を持つマグヌッセンは、現行ルールの改善に向けてF1はインディカーやIMSAのレーススタイルやサーキットから学ぶべきだと考えている。

「一番良いのは、ポジションを返上するようFIAが指示することだと思う。そして、それに従わない場合は本当に厳しい罰を与えることで、確実にポジションを返上させる仕組みを作る事だと思う」とマグヌッセンは語る。

「まず第一に、今のルールは複雑すぎるし、違反した場合の処分が厳しすぎると思う。レース中に限界を超えることがあっても、それから立ち直るための余地が少しは必要だ。それが不当なアドバンテージと判断されてドライブ・スルー・ペナルティになるなら、それは良くないと思う」

「僕はインディカーでレースをしたことがあるけど、向こうのルールはとても明確でシンプルだと感じたし、レースも素晴らしかった」

「世界のベストドライバー20名が繰り広げるレースは素晴らしいものでなきゃならない。それも重要な事だと思う。F1ドライバーは速いだけでなくレースが本当に上手い。それをアピールしなきゃ」

「僕らは誰もがみな、カートからキャリアを始めて、互いにレースすることを学んできたわけだけど、今年のガイドラインで特に僕としては、その一部が子供の頃に学んだ自然なレースダイナミクスに反していると感じている」

「これが別の問題だって事は分かっている。コース外に出て後続を抑えたり、僕がペナルティを受けた件とは違うってね。でもこれらに関してはポジションを戻すよう指示することで解決できると思う」

マグヌッセンはまた、アメリカのコースはF1と比較して「ラフ」で「驚くほど異なる」として、芝生やグラベルがコースの外側に配置されていない事がトラックリミットに関わる問題の要因の一つになっているとして、「F1にはコース全般にも問題があると感じている」と付け加えた。

F1エミリア・ロマーニャGP特集