マイアミ・インターナショナル・オートドロームでテレビ取材を受けるケビン・マグヌッセン(ハース)、2024年5月2日F1マイアミGP
Courtesy Of Haas

マグヌッセンの戦術は出走禁止に値するとマクラーレン、一方で「頑張れケビン!」とエールを贈る旧知のドライバーも

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ケビン・マグヌッセン(ハース)がF1マイアミGPスプリントで見せたドライビングについてマクラーレン・レーシングのアンドレア・ステラ代表は、タイムペナルティで済むものではなくレース出走禁止に値するとの考えを示した。

3度に渡ってコースオフを繰り返し、ルイス・ハミルトンに対して永続的なアドバンテージを得たとして計30秒、さらにトラックリミット違反で5秒のタイムペナルティを受けたマグヌッセンは、僚友ニコ・ヒュルケンベルグの7位を確保するために、自身が望まない「愚かな戦術」を用いたことを認め、受けた全ての懲罰は妥当なものだったと語った。

またレース後には、「スポーツマンシップに悖る行為」があった疑いがあるとしてスチュワードに召喚された。スチュワードは「長時間に渡るリアリング」を経て、不問とする決定を下した。

僚友ニコ・ヒュルケンベルグの後方、ルイス・ハミルトン(メルセデス)の前方を走行するケビン・マグヌッセン(ハース)、2024年5月4日F1マイアミGPスプリントCourtesy Of Haas

僚友ニコ・ヒュルケンベルグの後方、ルイス・ハミルトン(メルセデス)の前方を走行するケビン・マグヌッセン(ハース)、2024年5月4日F1マイアミGPスプリント

3回のコースオフの内の1回で3点のペナルティポイントが科され、過去12ヶ月間の累積点が8点に達したため、マグヌッセンは後4点でレース出場停止処分となる。

しかしながらステラは、他車を後方に抑えるために非スポーツマンシップ的なドライビングを繰り返し行った場合は即時のレース出走禁止が相当だと考えている。

英 Planet F1によると一件についてステラは、判断に迷うような複雑なケースではなく「ライバルに損害を与えるという点で意図的な行為」があった「比較的単純なケース」であると主張した。

そして、ポイント圏外にいる状況でタイムペナルティを科しても「何の違いももたらさない」として「即座に対処すべき」と訴え、こうした行為を繰り返し働くドライバーは出場停止処分を受け、「(レース)週末に家族と一緒に家でスポーツマンシップについて反省する必要があると言えるかもしれない」と付け加えた。

さらに、「仲間の競争相手に対して誠実かつ公正」で「スポーツマン」らしく振る舞えないのであれば、この業界に留まるべきではないとして、マグヌッセンの行為は「全く以て受け入れ難い」と非難した。

加えてペナルティポイントについては、違反回数の増加に応じて与えられるポイントが爆発的に増加するような「指数関数的」であるべきだと訴え、FIAのスポーツ諮問委員会に対してペナルティシステムの見直しを要請した。

マクラーレン所属のランド・ノリスは昨年のカナダGPで際立った活躍を見せたものの、「スポーツマンシップに悖る行為」があったとして5秒ペナルティを科され、9位チェッカー後に13位降格となった。

これはピットストップに際してのダブルスタックに伴うタイムロスを避けるために、ノリスがセーフティーカー先導下で意図的に減速した結果、後続のシャルル・ルクレール(フェラーリ)やアレックス・アルボン(ウィリアムズ)がノリスに合わせて速度を落とさなければならなくなった事が理由だった。

一件についてノリスは「誰もがよくやっている事」であり、自身が罰せられるのであれば「殆ど全員がペナルティを受けるべきだ!」と主張。マクラーレンは決定の見直しを求めて再審請求権を行使したが、スチュワードはこれを却下した

声高な非難が飛ぶ一方、マグヌッセンにエールを贈るドライバーもいる。

2010年にドイツF3で、2011年にマスターズ・オブ・フォーミュラ3とマカオGPでマグヌッセンと対戦した経験を持ち、4つの異なるジュニアシリーズでチャンピオンを獲得したインディカードライバーのフェリックス・ローゼンクビストはSNSに次のメッセージを上げた。

「ケビン・マグヌッセンが自分のクルマを上手く使ってレースをコントロールする様子を見るのは本当に楽しかった。F3で一緒にレースしていた時、彼を抜くのはほぼ不可能だと思ったのを覚えている。今でも同じなんだという事が分かってクールだよ。頑張れケビン!」

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