ホンダF1の集大成エンジン「RA621H」は大幅進化を遂げた、と角田裕毅
12日(金)のバーレーンテストでアルファタウリ「AT02」をドライブした角田裕毅は、旧型と比較して今季のホンダ製F1パワーユニット「RA621H」は大幅な性能改善を果たしたとの考えを示した。
2021年末の撤退を前に、ホンダはHRD-Sakuraに蓄積された全てのノウハウを惜しみなく注ぎ込んだ新型パワーユニットを1年倒しで2021年シーズンに投じた。
砂嵐が吹き荒れる金曜のバーレーン・インターナショナル・サーキットで午後のセッションを担当した角田裕毅は、昨年12月のアブダビ若手テストで旧スペックの「RA620H」を積むAT01をドライブしており、新旧を比較できる立場にある。
角田裕毅は「パワーユニット、エンジンが大きく進化しました。AT01に比べてかなり改善されているので、良いスタートが切れたと思います」と述べ、ホンダ渾身の集大成に感銘を受けた事を明かした。
詳細は伏せられているが、ホンダF1の現場統括責任者を務める田辺豊治テクニカル・ディレクターによると、パワーと信頼性の向上のためにICE(内燃エンジン)、タービン、ERS(エネルギー回生システム)に変更が加えられており、シャシーへの組み込みやパッケージングという点においても改良が施されているという。
角田裕毅は車体側の改善にも手応えを感じたようで、砂吹雪の影響でアブダビテストの時と直接比較する事は難しいとしながらも「ハンドリングも良い感じになっていて、コーナーでの走りにより自信を持つ事が出来ました」と説明した。
この日の角田裕毅はチームメイトのピエール・ガスリーに対して0.496秒差の9番手タイムをマークした。テストでのタイムシートに大きな意味はないとは言え、ガスリーはC3、角田裕毅はC2と、コンパウンド差を補正すると印象的なペースと言える。
ただ、4年目のフルシーズンを迎えるガスリーに対し、角田裕毅は今はまだF1での実戦経験を持たないルーキーだ。シーズン序盤のターゲットについて問われた角田裕毅は次のように答え、自身がミスを犯す可能性を認めた。
「レースで何が起こるのか、自分のフィジカルやタイヤのデグラデーションがどうなるのか分からないので、僕としては最初からハードにプッシュしていくだけです」
「ひょっとするとミスしたり、何度か馬鹿げた過ちを犯すかもしれません。ですが限界を知るためにはミスが付き物ですので、それを恐れてはいません」
初日走行は燃料システムに異常が確認された事で、チェッカーフラッグを待たずに走行が切り上げられた。角田裕毅は2日目土曜の午前に再びAT02のステアリングを握り、巻き返しを目指す事になる。