レッドブルF1との提携噂のフォード、ポルシェとは異なるスタンスで交渉か
アメリカ合衆国の自動車メーカー、フォード・モーター・カンパニーはポルシェとは異なるスタンスでFIA-F1世界選手権に参戦するレッドブル・レーシングとの提携を検討しているようだ。
初めてフォードの名前が取り沙汰されたのは今夏の事だった。フォルクスワーゲン傘下のポルシェとアウディの正式参戦を巡る話題が注目を集めていた当時、ドイツの「AMuS」がヒョンデ(ヒュンダイ)とフォードの名を示唆した。
フォードのF1参戦は18年前に遡る。かつて傘下にあったジャガーを通して2000~2004年にかけて最高峰クラスを戦ったものの成績は芳しくなく、その後チームはレッドブルへと売却された。
英Autosportは12月14日(水)、世界ラリー選手権(WRC)で既にレッドブルと協業しているフォードがミルトンキーンズのチームとの提携の可能性を探っているようだとして、「グランプリレースの成長、特に米国での成長」がF1復帰への関心を後押ししたとの見方を伝えた。
Netflixのドキュメンタリー「Drive to Survive」の配信をきっかけにアメリカ国内のF1人気は急激に上昇。2023年には初開催のラスベガスを含む3つのグランプリが同地で行われる。
次世代パワーユニットが投入される2026年以降に向けてレッドブルとの提携が噂されたのは、公に知られている限りで言えばポルシェ、ホンダに続く3社目となる。
2026年に向けてPUサプライヤー登録を行った事で、かつてのタッグ復活を巡るホンダとの交渉は頓挫した可能性がでてきてはいるが、まだ潰えたという確証も発表もない。
ホンダがレッドブルではない別のチームと組む場合の選択肢はウィリアムズ、マクラーレン、独自PU製造を断念したアストンマーチンあたりに限られる。なおアルファタウリの買収話も復活している。
一方、レッドブルとポルシェとの交渉は完全に破談した事が明らかとなっている。
それは株式の取得によって経営への口出しを望んだ事に対し、クリスチャン・ホーナーやヘルムート・マルコらレッドブル上層部が反発した事が一因だと考えられている。
フォードはポルシェとは異なる形での協業を模索しているようで、Autosportは「事業のオーナーシップには関心がなく、パワーユニットの技術開発をレッドブルに任せても構わないと考えられている」と伝えた。
つまりフォードがレッドブルとの提携を検討しているのはマーケティングとブランディングという2つの観点によるもので、その意味において双方の利害は完全に一致する可能性がある。
ただグリッド上での競争力という点では、既にV6ハイブリッドターボエンジンで確固たる経験と実績を持つホンダと組む方が明らかに賢明だ。
アメリカ大陸でのマーケティングを重視するか、チャンピオンシップを優先するか。ディートリッヒ・マテシッツの死去を経て新たにレッドブル社のCEOに就任したオリバー・ミンツラフらが、一連の交渉にどういった影響を及ぼすのかも注目される。