
フェラーリ失速の要因、初日最速も一転 失われた輝き―角田やアルボンにも敗北
金曜日のフリー走行でシャルル・ルクレールがトップタイムを記録するなど、2025年のF1開幕オーストラリアGPに臨むスクーデリア・フェラーリには明るい兆しが見えていた。だが、土曜日の予選では一転、劇的に競争力を失った。
ルクレールはQ1で4番手タイムを記録したが、それ以上のポジションアップは叶わず、最終的にはポールポジションを獲得したランド・ノリス(マクラーレン)から0.659秒遅れの7番手に終わった。ルイス・ハミルトンはさらに0.218秒遅れの9番手に甘んじる結果となった。
ノリスとの差について、ルクレールは「かなり大きかった」と肩を落とした。フェラーリは2台揃って、アレックス・アルボン(ウィリアムズ)や角田裕毅(レーシング・ブルズ)にも先行を許してしまった。
ペースを失った理由について、チーム代表のフレデリック・バスールは「金曜日のパフォーマンスは明らかに良かった。一方で、Q1とQ2は問題なかったが、Q3ではどこかでタイムを失ってしまった」と述べ、現時点で原因ははっきりしないと説明した。
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腕を組むスクーデリア・フェラーリのフレデリック・バスール代表、2025年F1オーストラリアGP(アルバート・パーク・サーキット)
C5コンパウンドが持ち込まれるアルバート・パーク・サーキットでは、シングルラップでリアタイヤのオーバーヒートがボトルネックとなる傾向がある。特にこの日は路面温度が40℃を超える暑いコンディションだった。
ルクレールは、「クルマをよりプッシュしようとすると、リアがどんどん不安定になってしまった」「最終セクターではオーバーヒートが酷く、今日は遥かに苦労した」と語り、また、バスールは「タイヤを使いすぎた可能性がある。特にラップの序盤で、もう少し慎重に扱うべきだったかもしれない。今後分析が必要だ」と振り返った。
実際、マクラーレンが突出していたのはセクター3で、フェラーリやレッドブルはこの区間だけでコンマ3秒を失った。
予選ではティフォシの期待に応えることはできなかったが、バスールは「これ以上悪くなることはないだろう。週末を通して予選Q3より遅いことは一度もなかった。それにフリー走行でのロングランは明らかに良いペースだったから、明日に向けては希望を持っている」と今後の展開に期待を寄せた。
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スクーデリア・フェラーリのガレージに立つルイス・ハミルトンの背中、2025年F1オーストラリアGP(アルバート・パーク・サーキット)
ハミルトンにとっても、オーストラリアGPの予選結果は期待外れだった。慣れ親しんだシルバーアローとは全く異なるマシンにまだ完全に慣れきれておらず、クルマから限界を引き出すには至っていないという。
ハミルトンは「まだ慣れていないし、大変だ。通常のセットアップ変更はそれほど難しくないけど、コックピット内のツールがクルマにどう影響するのか、まだ把握しきれていないんだ」としたが、同時に、フェラーリのマシンとチームを熟知するルクレールとの差をコンマ2秒に抑えたことには、手応えを感じている様子を見せた。
雨が予想される決勝レースについては、「まだこのクルマで雨の中を走ったことがなく、どのボタンを押せばよいのか分からない」と語り、雨天時に求められるクルマの操作方法に不安を抱えていることを認めた。
またブレーキについても言及し、「ブレンボがウェットコンディションでどう動作するのか、そしてこのクルマにどんなセッティングが必要なのか分からない」とも語った。
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アルバート・パーク・サーキットのパドックを歩くフェラーリのシャルル・ルクレールとルイス・ハミルトン、2025年F1オーストラリアGP(アルバート・パーク・サーキット)
2025年F1オーストラリアGP予選では、ランド・ノリスがポールポジションを獲得。2番手にランド・ノリスが続き、マクラーレンが最前列を独占した。3番手にはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が続いた。
決勝レースは日本時間3月16日(日)13時にフォーメーションラップが開始され、1周5278mのアルバート・パーク・サーキットを58周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。