スクーデリア・フェラーリのマッティア・ビノット代表、2022年9月9日F1イタリアGP
Courtesy Of Ferrari S.p.A.

フェラーリF1、ビノット更迭検討か…後任にライバルチーム代表の名が浮上。ルクレールとの関係が一因?

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フェラーリがシャルル・ルクレールからの順位入れ替え要求を拒否したF1サンパウロGPを経て、チーム代表を務めるマッティア・ビノットが更迭の危機に晒されているとの報道が舞い込んできた。

後任候補には、現アルファロメオ(ザウバー)のチーム代表兼CEOを務めるフレデリック・バスールや、フェラーリのGT部門を率いるアントネッロ・コレッタの名が取り沙汰されている。

アルファロメオのフレデリック・バスール代表、2022年5月28日F1モナコGPCourtesy Of Alfa Romeo Racing

アルファロメオのフレデリック・バスール代表、2022年5月28日F1モナコGP

インテルラゴスでフェラーリはまたもタイヤ選択を誤った。スリックではなくインターミディエイトを履かせた事で、ルクレールは予選Q3ノータイム最下位の10番手に留まった。

また決勝では、3番手を走行する僚友カルロス・サインツとの順位交代をルクレールが要求したものの拒否。この結果、ドライバーズランキング2位を争うルクレールは、セルジオ・ペレス(レッドブル)と同ポイントで最終アブダビGPを迎える事となった。

チームオーダー要求を受け入れなかった事については、背後にフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が迫っていた事、そしてセーフティーカー導入時にサインツが角田裕毅(アルファタウリ)を追い抜いた事でペナルティが科される可能性があった事から、適切な判断だったと言える。

だが、それでも予選での一件があったばかりのルクレールの不信感を増幅させるに十分だった。ヘルメットを脱いだルクレールは詳細には踏み込まなかったものの、事前に合意されたチームとの間の何らかの取り決めに反する行為があったとして改めて不満をあらわにした。

ブラジルでの週末を終えてイタリアの「クオティディアーノ・ナショナーレ」は、予選Q3での一件、そしてビノットとルクレールが「素晴らしいとは言えない」関係にある事を指摘した上で、コレッタがビノットに代わってチーム代表の就任するとの噂があると報じた。

コレッタはフェラーリのアティヴィタ・スポルティブGT部門の責任者であり、ル・マンを含めた数々の成功の立役者として知られ、2023年のFIA世界耐久選手権(WEC)参戦を目指すLMHプロジェクトのリーダーでもある。

同メディアは更に「ルクレールとサインツのチーム内における上下関係が不明確」であるがために2022年シーズン中に生じた「あらゆる問題」と「論争」が、ルクレールの忍耐を揺さぶっている可能性があるとも指摘した。

また「フォーミュラ・パッション」によると、マラネッロ事情に詳しいジャーナリスト、レオ・トゥリーニは伊紙「レスト・デル・カルリーノ」の14日(月)のコラムの中で、フェラーリがビノットの後任を検討している可能性について伝えた。

その背景にあるのは、今季のタイトル争いから脱落する事になった信頼性不足と戦略的判断ミス、そして「ルクレールとの良好ではない関係」だという。トゥリーニはビノットの後任にコレッタとバスールの名を挙げた。

バスールはF1におけるルクレールの最初のボスであり、25歳のモナコ人ドライバーのマネージャーを務めるニコラス・トッドの良き友人として知られる。

フェラーリは開幕3戦で2勝を挙げ、新型グランドエフェクトカーが導入された今季を力強くスタートしたものの、パワーユニットの信頼性不足と戦略ミスによって自らレースを捨てる場面が多々あり、結局両チャンピオンシップでレッドブルに敗北する事となった。

オフシーズンに近づくに連れてフェラーリの人事周りに様々な憶測が飛び交うのは季節行事のようなもので決して珍しいことではないが、ビノットについてはここ数ヶ月、様々な噂が飛び交っていた。

サンパウロGPでの今季初の1-2フィニッシュを経てメルセデスはコンストラクター2位につけるフェラーリとの差を19点にまで縮めた。最終戦での逆転劇が起きれば噂が事実となる可能性もありそうだが果たして。

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