米リバティ・メディア、F1に加えてMotoGPを傘下に…買収を正式発表
F1の商業権を持つ米国のメディア関連企業、リバティ・メディアはF1第4戦日本GPを週末に控えた2024年4月1日(月)、ロードレース世界選手権(MotoGP)を所有するドルナ・スポーツ(Dorna Sports S.L.)の買収を発表した。
リバティ・メディアはドルナの約86%の株式を取得。残りはドルナの経営陣が保持する。企業価値は42億ユーロ(約6,865億円)、株式価値は35億ユーロ(約5,713億円)と評価された。
本取引により、MotoGPの独占的な商業権およびテレビ放送権を持つドルナは今後、リバティ・メディアのフォーミュラ1グループ傘下の独立企業として運営される。1994年から最高経営責任者(CEO)を務めてきたカルメロ・エスペレータはその地位に留まる。本社は引き続きマドリードに置かれる。
MotoGPについてリバティ・メディアのグレッグ・マフェイCEOは「熱狂的でロイヤリティのあるファンや魅力的なレース、そして高いキャッシュフローを生み出す財務プロファイルを持つグローバルリーグ」であると述べた。また本取引についてドルナのエスペレータCEOは「MotoGPの進化における完璧な次のステップ」であると主張した。
2輪・4輪の最高峰カテゴリーの両方を傘下に収める事でリバティ・メディアは、モータースポーツ界における影響力を拡大すると共に、財務及び商業的相乗効果を生み出すチャンスを得る事になる。
買収は2024年末までに完了する予定だが、ドルナは「管轄区域の競争法当局や外国投資法当局による許可や承認を得ることが条件」だとしている。
英民間投資会社のブリッジポイント・グループが約5億ユーロ(約817億円)でドルナを買収したのは2006年の事だが、これは当時、ドルナを所有していたCVCキャピタル・パートナーズがF1の買収に際して欧州連合(EU)の規制当局から目をつけられた事が背景にあった。
CVCはドルナの売却を条件に規制当局の承認を得て、F1の買収にこぎ着けた。F1はその後、2016年に80億ドル(約1兆2,100億円)でリバティ・メディアに売却された。
MotoGPは1949年に全6戦から成る初のシーズンを迎えた。現在は5大陸で年間20戦以上を開催しており、テレビ視聴者数は全世界で数億人に達している。
ドルナはMotoGPの他にも、スーパーバイク世界選手権や出光アジア・タレント・カップ、レッドブル・ルーキーズ・カップ、電動シリーズのMotoE世界選手権といった様々な2輪シリーズを主催している。