車体に問題か…F1セーフティーカーがモンツァで奇妙な高速クラッシュ、熟練マイレンダーが初の事故「TecPro初経験だ」
幸いにもベルント・マイレンダーとコ・ドライバーに深刻な怪我はなかったが、F1イタリアGPの開幕を前日に控えた8月29日(木)、セーフティーカーがモンツァ・サーキットの有名高速コーナー、パラボリカでクラッシュする事故が発生した。
週末に向けた通常の準備の一環として、約25年のキャリアを持つベテランのマイレンダーはいつものように、ドライバーたちによるトラックウォークを経て、コースが閉鎖された午後、テストのためにアストンマーチン・ヴァンテージに乗り込んだ。
路面やコースの確認と合わせてセーフティーカーのドライバーは、無線やデータロガーやWi-Fi、マーシャリング/テレメトリーなどを含むFIAの各種システムに関するチェック項目に取り組むと共に、レースに向けてコースとクルマに慣れるべくクイックラップを周回する。
約25分の走行の後、マイレンダーは10周目、最終パラボリカへのブレーキングに際して挙動を乱し、一旦は取り戻したかに見えたがその後、再び奇妙な動きを見せ、コントロールを失ったクルマは高速でコース外に飛び出し、グラベルを乗り越えてバリアに激突した。
事故についてFIAは「アストンマーチンが現在、事故の原因を調査している」としており、クルマの挙動からも、ブレーキを含めて車体側に何か問題が発生していた可能性がありそうだ。
F1マシンではないとは言えヴァンテージは665馬力を誇り、パラボリカに向けては時速250km/h以上に達する。TecProバリアにより衝撃が和らいだことが幸いし、ドライバーとコ・ドライバーに怪我はなかった。
フロントから激しくクラッシュしたため、クルマは前方を中心に大きく損傷したが、予備のセーフティーが配備されているため、FIAは現時点で週末に影響が及ぶ可能性はないとしている。
2000年シーズンよりオリバー・ギャビンの後任として長年に渡ってF1セーフティーカーのドライバーを務めてきたマイレンダーが事故を起こしたのは、そのキャリアを通して今回が初めてだった。
クラッシュを経てマイレンダーは独auto Motor und Sportに対し、「後進していたため、どれだけのランオフエリアが残っているのか全く感覚がつかめなかったが、アスファルトとグラベルがうまく減速してくれた」と事故を振り返った。
「衝撃はかなり強かったが、体には全く問題ない。首にも違和感はない。同乗者も無事だ。TecPROと5層のタイヤバリアが素晴らしい仕事をしてくれた。TecProを経験したのはこれが初めてだ。かつて私がレースドライバーだった頃にTecProはなかったからね」