F1、ヘルメットデザイン変更禁止ルールを撤廃…WMSCで車両重量引き上げ等を採択
F1は2020年シーズンより、ヘルメットデザインの変更を禁止している現行ルールを廃止する。3月6日にスイス・ジュネーブで行われた世界モータースポーツ評議会(WMSC)で採択された。鳴り物入りでの導入から5年での廃止となった。
識別性を理由として、F1では2015年よりシーズン中にヘルメットのデザインを変更する事を原則として禁止し、スポーティングレギュレーションでこれを定めてきた。母国レース等の特別な事情がある場合に限り、シーズンに1度だけ変更を認めていたが、このルールが厳格に運用される事はなかった。
例えば2019年シーズンには、ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)が母国ロシアGPの際にスペシャル仕様のヘルメットを持ち込み、チームを通してF1レースディレクターのマイケル・マシに仕様変更を申請したところ、既に変更枠を使い切っているとの理由で却下された。だが、同じ様に年間に何度もデザインを変更していたセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)やマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)らが咎められる事はなかった。
何が両者を分けたのか? それは申請の有無だった。シーズンを通して幾つもの意匠のヘルメットを実際に使用したドライバー達は、そもそもFIA側に許可を求めていなかったのだ。問い合わせがあればルールと照らし合わせてその可否を伝える…マイケル・マシにはクビアトに「OK」を伝える裁量はなく、律儀に申請した正直者のクビアトがバカを見るルール運用だった。
この日のWMSCではその他に、パワーユニットに2つ目の燃料流量センサーを追加した事に伴って車両の最低重量が746kgへと引き上げられた他、アブダビでのポストシーズンテストで2021年仕様の18インチタイヤを使用する事等が決定された。