18年型「R.S.18」と17年型「R.S.17」のサイド比較画像

ルノー:2018年F1マシン「R.S.18」解説 / 比較画像とエンジンスペック・主要諸元

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ルノー・スポールF1チーム(Renault Sport F1 Team)の2018年F1マシン「R.S.18」の主要諸元と、950馬力以上の出力を誇るとされるパワーユニット「RENAULT R.S.18」のエンジンスペックを紹介。昨季の「R.S.17」との比較画像を交えて「R.S.18」を解説する。

概要

2018年2月20日に正式発表された。ルノーのドライバーラインナップは継続され、昨季途中で加入しコンストラクターズ6位の立役者となったカルロス・サインツと、経験と知識豊富なリードドライバーのニコ・ヒュルケンベルグの二人がステアリングを握る。

RS18 写真と解説

ルノーF1の2018年マシン「R.S.18」全景写真

ルノーRS18は、2016年にF1復帰して以来ワークス・ルノーとしての3世代目のシャシー。英国のエンストンとフランスのヴィリーの2つの拠点が共同開発した。チームによればRS18は昨シーズンのRS17の進化版であり、空力効率の改善によってダウンフォース量が増加しているという。だが同時に、パフォーマンス追求の代償として冷却面での課題を抱えた。

表彰台争いに加わるべく、首脳陣はエンストンの設備を大幅改善する事を決定。CFDスーパーコンピュータ、風洞、レースチームオペレーションルーム、ギアボックスダイナモ、マシンショップ等、ファクトリーの機能拡張に多くの予算が投じられた。従業員数も35%以上増加している。

ルノーF1の2018年マシン「R.S.18」正面写真

ルノーF1の2018年マシン「R.S.18」側面

正面から見るのと側面から見るのとでは印象が大きく異なるデザインが面白い。黄色と黒をうまく使い分けて、視覚的な遊び心を表現している。

ルノーF1の2018年マシン「R.S.18」リア側

ルノーF1の2018年マシン「R.S.18」の上空画像

スポンサーロゴやカーナンバーが殆ど基本のカラースキームでプリントされている中、オイルを供給するカストロールだけはオリジナル着色。両者の力関係に対する想像が膨らむ。

RS18のサイドポッド周り拡大写真

ジェローム・ストール社長が「昨年は、我々の方向性が正しいことが確認できた年」と述べるように、空力コンセプトを一新したウィリアムズやザウバーとは異なり、ルノーは車の哲学を維持する事を選んだようだ。変化ではなく、熟成・進化という事か。

「調整」の範疇にあるような変更点は確認できるが、特筆するような大きな変化は見られない。

RS18のコックピット周り拡大写真

フロントサスペンションはトレンドに沿った高い位置に据えられているが、ルノーは昨年も同様のパッケージを使用しているため代わり映えはしない。

エンジンへの空気取り入れ口は複雑なセパレータが取り払われ、かなりシンプルに。ハロが発生する乱流によってエアインテークへの空気流入が大きく影響を受けると考えられている中、ルノーは他のチームとは異なる道を選んだようだ。

RS18のリア拡大写真

昨年マシンとの比較画像

18年型「R.S.18」と17年型「R.S.17」のサイド比較画像

18年型「R.S.18」と17年型「R.S.17」の正面比較画像

このように見比べると一目瞭然だが、アルファロメオ・ザウバーのC37が劇的な変化を遂げたのとは対照的に、R.S.18の変化はかなり限定的だ。

技術諸元・スペック

エンジン

シーズン中3基までに厳格化されるエンジン交換制限に対処すべく信頼性の向上が図られた。ヴィリー=シャティヨン工場のダイナモでのチェックでは、性能と耐久性の両面において改善が確認されているという。

型式 R.E.18
排気量 1600cc
シリンダー V型6気筒 / 90度
バルブ数 24
ボア径 80mm
ストローク 53mm
クランク高 90mm
過給 シングルターボ、過給圧無制限(5bar abs)
最高回転数 15,000rpm(ICE、レギュレーション規定)
最大燃料流量 100kg/h
燃料タンク容量 105kg
燃料噴射 直噴
MGU-K 最大出力 120 kW
MGU-K 最大回転数 50,000 rpm
MGU-K 最大回生量 2 MJ/周
MGU-K 最大放出生量 4 MJ/周
MGU-H 最大回転数 100,000 rpm以上
重量 145kg(既定最低重量)
馬力 950馬力以上

シャシー

型式 R.S.18
構造 カーボン複合材料製モノコック
フロントサスペンション カーボンファイバー製プッシュロッド式ダブルウィッシュボーン
トーションバー及びダンパーはインボードマウント
アルミニウム製アップライト
リアサスペンション カーボンファイバー製プルロッド式ダブルウィッシュボーン
トーションバー及びダンパーはインボードマウント
アルミニウム製アップライト
トランスミッション クイックシフト搭載リバース付8速カーボン製ギアボックス
ホイール OZレーシング製マグネシウム
タイヤ ピレリ P Zero
ブレーキ ブレンボ製キャリパー、APレーシング製マスターシリンダー
カーボンディスク&パッド
電気システム MES マイクロソフト製標準電子制御ユニット
コックピット C/Cコンポジット材6点シートベルト付着脱シート
ステアリング ギアチェンジ及びクラッチパドル + リアウィング調整機構付
全幅 2,000mm
全高(Tカメラ除く) 950mm
全長 5,480mm
フロントトレッド 1,600mm
リアトレッド 1,550mm
重量 733kg(ドライバー含)