SF71HとSF70Hとの側面比較画像

フェラーリ:2018年F1マシン「SF71H」解説 / 比較画像とエンジンスペック・主要諸元

  • Updated:

スクーデリア・フェラーリ(Scuderia Ferrari)の2018年F1マシン「SF71H」の主要諸元と、搭載されるフェラーリ製パワーユニット「062 EVO」のエンジンスペックを紹介。昨季の「SF70H」との比較画像を交えて「SF71H」を解説する。

概要


©ferrari.com

「669」というコードネームが与えられたフェラーリの2018年F1マシンは、同社が設計・製造を手掛けたフォーミュラ1世界選手権参戦車両としては64世代目のシングルシーター。

お披露目はセバスチャン・ベッテル、キミ・ライコネンの二人のドライバーに加えて、チーム代表のマウリツィオ・アリバベーネ、技術責任者のマッティア・ビノットらが見守る中、2018年2月22日にフェラーリ本拠地マラネロで行われた。その様子はインターネットで世界中にリアルタイム配信された。

SF71H 写真と解説

フェラーリ2018年F1マシン「SF71H」全体像

空力コンセプトは昨年から継続、抜本的な変更は行われず「SF70H」の進化版となった。元F1ドライバーのカルン・チャンドックは「堅実な進化」と評した。「SF70H」のエアロパッケージはライバルも認めるところであり、2018年は多くのチームがこれを模倣・追随した。下記3つの主要変更によって、弱点としていた高速サーキットでの性能改善が図られている。

  • ホイールベース拡張
  • サイドポッド周りの空力効率の改善
  • 絞り込まれたリアエンド

年間3基までに厳格化されるエンジン交換規約へ対処するため、サイドポッドのインレットを調整。エンジンの冷却効率向上が図られた。昨年導入された幅広タイヤの走行データを元に、サスペンションも改良されている。

前年限りで契約を終了したサンタンデール銀行とのスポンサーシップの影響か、「SF70H」と比較して白地の面積が大幅に縮小。フロントウイングやリアウイングのホワイトが赤へと塗り替えられた。全体として「真紅一色」といった印象を強く受ける。

フェラーリ2018年F1マシン「SF71H」正面写真

今季より設置が義務付けられたコックピット保護デバイス「ハロ」上面には、規約で許されているフェアリングが追加された。その側面と下面は黒色で塗装され、基調の赤色と激しいコントラストを奏でる。前面には跳ね馬のロゴがプリントされた。

フェラーリ2018年F1マシン「SF71H」上面写真

昨年マシンとの比較画像

SF71HとSF70Hとの正面比較画像

チームが公表したSF71Hのフロント写真は加工されているようで、見比べる際は後輪タイヤが消されている点に注意されたい。

コックピット後方にあるエンジンへの空気取り入れ口「インダクション・ポッド」が大幅に拡大されている。ハロの搭載によって懸念されるエンジンへの吸気効率悪化への対処だろうか。

SF71HとSF70Hとの側面比較画像

若干撮影ポジションが異なるため分かりづらいが、車体前後方向の傾き、いわゆるレーキ角がより大きくなっており強く前傾しているのが確認できる。サイドポッドとフロントタイヤは前方に移動、リアエンドは大きく後方に移動し、ホイールベースが拡張された。

赤に塗り替えられたリアウイングのエンドプレートは昨年よりも低く抑えられている。メインプレートは中央部分で2本の柱によって固定されている。

SF71HとSF70Hとの上面比較画像

サイドポッドをリア方向に移動、フロントサスペンションとの間の空間を拡充させた。バージボード周りでの自由度が高められている。マシン後方に向かうボディーワークはより激しく絞り込まれている。

技術諸元・スペック

エンジン

「063」と予想されていたが、SF71Hの2018年パワーユニットは昨季の「062」の進化版である事を示す「062 EVO」と名付けられた。

型式 フェラーリ 062 EVO
排気量 1600cc
シリンダー V型6気筒 / 90度
バルブ数 24
ボア径 80mm
ストローク 53mm
クランク高
過給 スーパーチャージャー、シングルターボ
最高回転数 15,000rpm(ICE、レギュレーション規定)
最大燃料流量 100 kg/h
燃料タンク容量 105 kg
燃料噴射 直噴、最大500bar
重量 非公表
馬力 非公表

ERS エネルギー回生システム

バッテリー(ES) 非公表
バッテリー(ES)最大貯蔵量 4 MJ/周
MGU-K 最大出力 120 kW
MGU-K 最大回転数 50,000 rpm
MGU-K 最大回生量 2 MJ/周
MGU-K 最大放出生量 4 MJ/周
MGU-H 最大回転数 125,000 rpm以上

シャシー

フェラーリ創設71周年を表す「71」を冠した車体「SF71H」は”エスエフ・セブンティワン・エイチ”と呼ぶ。ホイールベースは3,550mmから3,678mmへと大幅に拡大され、メルセデスの3,680mmに限りなく近いサイズとなった。

型式 SF71H
構造 C/Cコンポジット材ハニカム構造
コックピット
フロントサスペンション プッシュロッド式ダブルウィッシュボーン
リアサスペンション プルロッド式ダブルウィッシュボーン
トランスミッション フェラーリ製クイックシフト搭載リバース付8速カーボン製ギアボックス
油圧リミテッド・スリップ・デフ
タイヤ ピレリ P Zero
ホイール OZレーシング製、前後ともに13インチ
ブレーキ カーボンファイバー製ベンチレーテッド・ディスクブレーキ
リア:ブレーキ・バイ・ワイヤ(BBW)
電気系 非公表
冷却系 非公表
ステアリング 非公表
無線 非公表
塗装 非公表
計器類 非公表
全幅 非公表
全高 非公表
全高 非公表
フロントトレッド 非公表
リアトレッド 非公表
重量 733 kg(ドライバー含)
前後重量配分 非公表