ノリス最速も、”C6”が予選を揺らす? 角田は苦戦後退 / F1エミリア・ロマーニャGP 2025《FP3》結果と詳報

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2025年F1第7戦エミリア・ロマーニャGPの予選を前に、最終3回目のフリー走行(FP3)が現地時間5月17日に行われ、多くが今季初投入となるC6コンパウンドに苦戦する中、ランド・ノリス(マクラーレン)が1分14秒897を記録。昨年のポールタイムに迫る走りでトップに立った。

チームメイトのオスカー・ピアストリは、ソフトタイヤ(C6)での最初のアタック中にブレーキングミス。ラップを断念せざるを得なかったが、最終的にはノリス同様の1分14秒台に突入して2番手につけた。これにより、マクラーレンは週末全てのプラクティスで1-2を達成した。

とは言え、ノリスもまたグラベルに飛び出す場面があり、C6でベストラップを刻んだ直後にも、マシンバランスへの不満をチームに報告。その内容は決して順風満帆だったわけではなく、特にミディアムタイヤでは他のチームに先行を許しており、予選での優位性は決して確定的ではない。

レッドブル:ミディアムで好調も角田苦戦

レッドブル勢は、マックス・フェルスタッペンがミディアムタイヤ(C5)でマクラーレン勢を上回るタイムを記録。初日に記録されたソフトタイヤのベンチマークをも上回ったが、ソフトに履き替えて以降はタイムを伸ばせず、最終的にノリスから0.181秒遅れの3番手で終えることとなった。

チームメイトの角田裕毅もソフトでタイムを残せず、ミディアムでベストを記録した5人のうちの一人だが、フェルスタッペンから1.032秒遅れの17番手と、その内容は実に厳しいものだった。無線では「グリップがまったくない」と不満を訴えており、C6に苦戦している様子が見受けられた。

FP1ではトラフィックに泣き、FP2ではフェルスタッペンに迫る走りを見せて8番手に食い込んだものの、FP3では後退。ペース不足が明確に表れた。

レッドブル陣営は、予選に向けて角田のパフォーマンス改善に向けた対応に追われることになる。状況が改善されなければ、Q3進出枠の1つがミッドフィールド勢に開放される可能性もあるかもしれない。

悩ましきC6、予選ではミディアム起用も視野?

C6は今季初登場となるピレリのラインナップの中で最も柔らかいコンパウンドであり、予選向きとも思われていたが、FP3ではグリップ低下やオーバーヒートにより、多くのドライバーがコースオフしたり、タイム更新に失敗する事態となった。ノリスでさえC6の扱いに苦戦した。

ウィリアムズのチーム代表ジェームズ・ヴァウルズはC6について、「これでラップタイムを引き出すのは簡単ではない。非常に柔らかく、ラップの終盤にはオーバーヒートしてしまう。限界ギリギリのところを感じ取りながら、越えないように走る必要がある」と語り、繊細な使い方が求められることを強調した。

ミディアムタイヤの方が安定して速さを発揮する可能性もあり、予選に向けて戦略は一層複雑化している。ただし、多くのドライバーはミディアムを1セットしか残しておらず、予選で使用するか決勝に温存するか、難しい判断を迫られる。

アントネッリが地元躍進 サインツ、ハジャーらも上位

F1キャリア初の母国レースに臨むアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)は、ミディアムでは真っ当なタイムを出せなかったものの、ソフトに履き替えると1周をまとめきり、4番手につけた。一方、チームメイトのジョージ・ラッセルは4つ下の8番手。ソフトでの最初のアタックでグラベルに飛び出してしまい、その後もタイムを伸ばせなかった。

この2人の間に入ったのは、フェラーリ、ウィリアムズ、そしてレーシング・ブルズの各ドライバーだった。シャルル・ルクレールが5番手を記録し、好調カルロス・サインツが6番手に続いた。

アイザック・ハジャーはミディアムタイヤで印象的なペースを刻んだが、ソフトタイヤではペースを見出せず7番手となった。なお僚友リアム・ローソンは、初日にハジャーが赤旗を出したタンブレッロの出口でスピン。ウォールとの接触は避けたが、最終順位は14番手だった。

トップ10はサインツのチームメイトであるアレックス・アルボン(ウィリアムズ)と、ルクレールのチームメイトであるルイス・ハミルトン(フェラーリ)が締めくくった。ハミルトンはセッション終盤、リバッツァ2の出口で縁石に乗り上げた影響を懸念し、フロアの損傷について無線で確認を求める場面があった。

今回のFP3では、ノリス、ピアストリ、フェルスタッペン、ラッセル、ハミルトンといったトップドライバーたちでさえグラベルに飛び出す場面が見られた。コンディションとC6の難しさを物語っており、予選ではトラフィック処理を含めて「如何にミスを抑えるか」が勝敗を左右する鍵の1つとなりそうだ。


全3ラウンド、計1時間が予定されるF1エミリア・ロマーニャGPの公式予選は、日本時間5月17日(土)23時からイモラ・サーキットにて行われる。セッションの模様はDAZNフジテレビNEXTで生配信・生中継される。

2025年F1第7戦エミリア・ロマーニャGPフリー走行3(FP3)リザルト

Pos No Driver Team Time Gap Laps
1 4 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 1:14.897 19
2 81 オスカー・ピアストリ マクラーレン・メルセデス 1:14.997 +0.100 19
3 1 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダRBPT 1:15.078 +0.181 17
4 12 アンドレア・キミ・アントネッリ メルセデス 1:15.399 +0.502 15
5 16 シャルル・ルクレール フェラーリ 1:15.451 +0.554 26
6 55 カルロス・サインツ ウィリアムズ・メルセデス 1:15.457 +0.560 21
7 6 アイザック・ハジャー レーシングブルズ・ホンダRBPT 1:15.508 +0.611 20
8 63 ジョージ・ラッセル メルセデス 1:15.662 +0.765 14
9 23 アレックス・アルボン ウィリアムズ・メルセデス 1:15.732 +0.835 20
10 44 ルイス・ハミルトン フェラーリ 1:15.787 +0.890 25
11 14 フェルナンド・アロンソ アストンマーチン・メルセデス 1:15.819 +0.922 18
12 87 オリバー・ベアマン ハース・フェラーリ 1:15.944 +1.047 14
13 18 ランス・ストロール アストンマーチン・メルセデス 1:15.975 +1.078 22
14 30 リアム・ローソン レーシングブルズ・ホンダRBPT 1:15.977 +1.080 21
15 10 ピエール・ガスリー アルピーヌ・ルノー 1:15.990 +1.093 14
16 5 ガブリエル・ボルトレート ザウバー・フェラーリ 1:16.046 +1.149 17
17 22 角田裕毅 レッドブル・ホンダRBPT 1:16.110 +1.213 14
18 43 フランコ・コラピント アルピーヌ・ルノー 1:16.210 +1.313 14
19 27 ニコ・ヒュルケンベルグ ザウバー・フェラーリ 1:16.238 +1.341 16
20 31 エステバン・オコン ハース・フェラーリ 1:16.387 +1.490 15

コンディション

天気晴れ
気温22℃
路面温度40℃

セッション概要

グランプリ名 F1エミリア・ロマーニャGP
セッション種別 フリー走行3
セッション開始日時

サーキット

名称 イモラ・サーキット
設立 1953年
全長 4909m
コーナー数 21
周回方向 反時計回り

F1エミリア・ロマーニャGP特集