「冗談じゃない!」ドゥーハンの怒りの理由とは? アルピーヌの“ダブルリリース”が招いた悲劇の真相

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2025年F1第6戦マイアミGPのスプリント予選で、アルピーヌの新人ジャック・ドゥーハンは、不本意な形でSQ1敗退を喫した。17番手でセッションを終えると、チームに対して「冗談じゃない!」と無線で怒りをあらわにした。

ピットで発生した悲劇のダブルリリース

問題が発生したのは、ドゥーハンが最終アタックに向けてピットアウトしようとしたタイミングだった。隣のガレージを使用するチームメイトのピエール・ガスリーと発進のタイミングが重なったことで、ドゥーハンはクルマを旋回させるためのスペースを確保できず、ピットの壁際で立ち往生する形となった。

その結果、メカニックによってクルマを押し戻されることになり、その間にハースの1台とレッドブルの2台が先にピットレーンに向かった。ドゥーハンは隊列の後方に回り、チェッカーフラッグまでにラップを開始することができなかった。

ドゥーハンは無線を通して「マジであり得ない。到底、受け入れられない。彼(ガスリー)を僕の前に出すなら、ちゃんとやってくれ。あれじゃ曲がれないじゃないか。その結果、SQ1でノックアウトなんて、冗談じゃない」と声を荒げた。エンジニアは即座に謝罪したが、ドゥーハンの怒りを鎮めるには至らなかった。

“挽回の余地があった”とドゥーハン

クルマを降りてなお、ドゥーハンの怒りは収まらず、「最後のアタックにすべてが懸かっていたんだ。感触は良かったのに、ピットレーンでブロックされて終わってしまった。しかも原因が、もう1台のマシンだなんて」と振り返る。

「そのせいで、フライングラップに間に合わなかった。スプリント予選は、2ラップ走って2回目のアタックでタイムを大きく改善できるフォーマットなのに、最後に出ていったことで2回目のラップが走れなかった」

「1回目のラップでは、フリー走行とは違うことをいくつか試して、けっこうとっ散らかった感じだったけど、悪くはなかった。2回目のラップではもっとタイムを縮められるはずだった。でももう、それを確かめることはできない」

出走順の管理はチームの責任であり、今回のような“ダブルリリース”の失敗はオペレーションミスと言える。特に、開幕から5戦を終えてノーポイントにとどまるドゥーハンにとっては、チーム内で自身の存在意義を示す貴重な機会を失っただけに、感情的になるのも無理はない。

マイアミ・インターナショナル・オートドロームでアルピーヌA525をドライブするジャック・ドゥーハン、2025年5月2日F1マイアミGPフリー走行1Courtesy Of Alpine Racing

マイアミ・インターナショナル・オートドロームでアルピーヌA525をドライブするジャック・ドゥーハン、2025年5月2日F1マイアミGPフリー走行1

わずか19周で争われるスプリントでのポイント獲得は現実的に困難であり、ドゥーハンは「経験を積む場」として土曜のスプリントに臨む。

「とにかく、できるだけポジションを上げていくしかない。スプリントは厳しい展開になると思うけど、午後にはもう一度予選があるし、できる限り多くを学んで、それを決勝と予選に活かしていきたい」と語った。


2025年F1マイアミGPのスプリント予選では、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)が初のスプリントポールを獲得。オスカー・ピアストリとランド・ノリスのマクラーレン勢がこれに続く結果となった。

スプリントは日本時間5月3日(土)25時から、公式予選は同9時から1時間に渡ってマイアミ・インターナショナル・オートドロームで開催される。セッションの模様はDAZNフジテレビNEXTで生配信・生中継される。

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