マイクは切れていなかった…コラピント、F1復帰内定か―主要スポンサーの”一言”で波紋

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若きアルゼンチン人ドライバー、フランコ・コラピントのF1復帰を巡る憶測が高まっている。発端となったのは、彼を支援するアルゼンチン国営石油会社YPFのオラシオ・マリンCEOによる発言だ。

アルピーヌは2025年1月、コラピントとのリザーブドライバー契約を発表。一方で、レギュラードライバーはジャック・ドゥーハンが務めているものの、シーズン途中でコラピントにシートを奪われるのではないかとの噂が根強くささやかれてきた。

チーム代表のオリバー・オークスは、ドゥーハンへの信頼を強調し、十分なチャンスを与える意向を示している。だが、エグゼクティブアドバイザーのフラビオ・ブリアトーレがコラピントの起用を推しているとの報道もあり、ドゥーハンの将来には不透明感が漂っている。

ジェッダ市街地コースを走行するジャック・ドゥーハン(アルピーヌ)、2025年4月18日F1サウジアラビアGPCourtesy Of Alpine Racing

ジェッダ市街地コースを走行するジャック・ドゥーハン(アルピーヌ)、2025年4月18日F1サウジアラビアGP

アルゼンチンの複数メディアによるとマリンCEOは、アルゼンチンのニュースチャンネル『A24』のインタビューで、コラピントのF1出走の可能性について問われた際に「それは私が言えることではない」と笑顔で返答。さらに「デビューはいつ? マイアミ?」との問いかけには「分からない」と答えるにとどめた。

その後、インタビューは終了し映像も切れたが、マイクは切れていなかったようで、「イモラで」と発言するマリンCEOの音声が放送された。これにより、コラピントが5月16日〜18日に開催されるF1エミリア・ロマーニャGP(イモラ)で再びF1マシンをドライブするのではとの憶測が一気に広がった。

この事態を受け、マリンCEOは別の番組『LN+』の中で釈明に追われた。「私は『イモラで走ってほしい』と言っただけだ」と弁明し、「そんな情報を私が持っているはずがない。私はYPFのCEOであり、コラピントのマネージャーではない」と強調した。

YPFはコラピントを長年支援してきた主要スポンサーであり、アルピーヌとの契約や将来的な起用計画について詳細を把握していたとしても不思議はない。

そのため、今週末のマイアミGPがドゥーハンにとってアルピーヌでの最後のレースとなる可能性は否定できないが、一方でマリンCEOの発言は、FP1出走を指しているにすぎない可能性もある。

F1競技規則は各チームに対し、1台のマシンにつきシーズン中に最低2回、グランプリ参戦経験が2戦以下のドライバーの起用を義務付けている。ただし、コラピントはこの要件に合致しないため、仮にFP1で起用しても、アルピーヌがこの規定を履行することはできない。

コラピントは2024年シーズン後半にウィリアムズからF1デビューを果たし、9戦に出場して5ポイントを獲得した実績を持つ。2025年からはアルピーヌのリザーブドライバーとして、主にテストや開発業務を担当している。

一方で、アルピーヌの現レギュラードライバーであるドゥーハンは、今季ここまで5戦を終えて未だポイントを獲得できておらず、アルピーヌにとっての今季唯一のポイントは、バーレーンGPでピエール・ガスリーが持ち帰った6ポイントのみとなっている。

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