ジル・ビルヌーブ・サーキットのターン1、2019年カナダGP決勝レースにて
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F1カナダGP、2年連続での中止濃厚…開催に向けて問題山積 代替はトルコ

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6月11~13日にジル・ビルヌーブ・サーキットで開催が予定されているF1第7戦カナダGPの中止が濃厚となりつつある。現地報道は木曜、2年連続で中止される可能性が高いと報じた。

バクー市街地サーキットでのアゼルバイジャンGPの翌週にダブルヘッダーとして予定されているカナダGPについては終始開催が危ぶまれていた。代替にはトルコGPの名が取り沙汰されている。

Radio-Canadaが木曜に報じたところによると、連邦政府はまだ最終決断を下していないものの、モントリオールおよびケベック州の各公衆衛生当局間で意見の相違が続いており、中止の可能性が高まっているという。

ケベック州の公衆衛生局は無観客であれば開催は可能と主張する一方、モントリオールの公衆衛生局はCOVID-19とその変異株による第3波が州内を席巻する中での開催に断固反対しているという。

ジル・ビルヌーブ・サーキットのターン10copyright Pirelli & C. S.p.A.

ジル・ビルヌーブ・サーキットのターン10

問題は複数ある。

一つはカナダへの入国者に課せられている14日間の検疫期間だ。F1のステファノ・ドメニカリCEOはカナダ政府に対して検疫の免除を求めているが、現時点では公の進展はない。

もう一つは無観客レースの開催に伴うコスト負担の問題だ。F1は開催権料とは別に600万ドル、日本円にして約6億5400万円の追加費用を要求している。

3つ目は約2500人と見積もられる参加者数だ。チームを含めたF1関係者が約1300人、これに加えて彼らと頻繁に接触する事になるボランティアが約1,000人想定されており、ボランティアに関してはF1が定める感染拡大防止のためのガイドライン、いわゆる”バブル”の対象外となっている。

中止が濃厚とは言えども、F1は現地プロモーターとの交渉は継続中としており、予定通りの開催を除外していない。

なお、ケベック州政府経済イノベーション省のピエール・フィッツギボン大臣は、今回の中止が契約違反と見なされる事を恐れている。

フィッツギボン大臣は「F1グランプリはカナダで最も重要な観光イベント」であるとして「仮にグランプリが中止になった場合、(契約を結んでいる)2029年までイベントを継続できるようにするためにはどうしたら良いのかが問題だ」と語った。

雨のイスタンブール・パーク・サーキットの最終コーナー、2020年F1トルコGP予選にてcopyright Racing Point

雨のイスタンブール・パーク・サーキットの最終コーナー、2020年F1トルコGP予選にて

F1はカナダGP中止のシナリオに備えてイスタンブール・パーク・サーキットでの開催をBプランとして用意しているものと見られる。これは前の週に行われるアゼルバイジャンから地理的に近く、物流上の課題が少ないためだ。

バクー市街地サーキットでのレースは6月6日に無観客で開催される予定となっている。

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