2020年F1ロシアGPスタート直前のグリッドの様子
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F1:2020年通期業績発表、コロナ渦の影響で収益半減…411億円もの巨額損失を計上

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F1の商業権を持つリバティメディア・コーポレーションが26日(金)、2020年第4四半期および通期の業績を発表した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックによるF1への甚大な影響が明らかになった。

2020年通期のF1グループの収益は前年比43%減、8億7,700万ドル(約935億5,400万円)減の11億4,500万ドル(約1,220億円)で、3億8600万ドル(約411億3,000万円)もの巨額の損失を計上した。

F1の収益が減少した結果、フォーミュラ1グループからF1チームへと支払われる所謂分配金は7億1,100万ドル(約757億6,000万円)と、2019年の10億1,200万ドル(約1078億円)から3割減少した。これには昨年夏に締結された新コンコルド協定への合意に伴う一時支払いも含まれる。

世界を転戦するF1は昨年、史上最多となる全22戦を予定していたものの新型肺炎が世界的に流行した事からシーズン開幕は3ヶ月近くずれ込み、同一開催地でのダブルヘッダーといった禁じ手的対策を講じる事で、かろうじて欧州での17ラウンドを開催した。

とは言え、大部分のイベントは関係者のみの無観客レースとして執り行わざるを得ず、現地プロモーターがチケット収入を得る事ができない事から、F1は収益の柱であるホスティングフィーの削減・免除を余儀なくされ深刻な財政的影響に晒された。

F1の収益はホスティングフィー、テレビ放映権料、スポンサー料の3つに集約される。17戦を開催した事でテレビ放映権料は支払われたものの、予定よりも少ないレース数であった事から当初の取り決めよりも売上が減り、無観客という事でスポンサー料も大きく制限された事から、主要収益源のすべてが大打撃を受けた。

F1の昨年の総収益に占めるホスティングフィー、テレビ放映権料、スポンサー料の割合はそれぞれ12%、55%、17%であった。

財政面では非常に厳しい結果となったが、他方ポジティブな材料もある。1レースあたりの平均テレビ視聴者数は8,740万人で、ソーシャルメディアのフォロワー数は36%増加し3,500万人に達した。

今季カレンダーには初開催のオランダとサウジアラビアを含む23戦が並んでおり、昨年は叶わなかったアメリカ大陸と東南アジアへのフライアウェイ戦も行われる予定となっており、収益の改善が見込まれている。

F1のステファノ・ドメニカリCEOによると、現時点では全てのイベントが予定通りの開催に向けて動いているというが、ワクチン開発と投与開始のニュースとは裏腹に、依然としてパンデミック収束の見通しは立っておらず、今後カレンダーが再度の再編を強いられる可能性は十分にあると言える。