フェラーリ、F1開催中止で減収「シーズン再開でも通期”激減”は不可避」
F1カレンダーの凍結によるチームへの影響の一端が浮かび上がってきた。フェラーリは5月4日(月)、2020年第1四半期(1~3月)の連結決算(速報値)を発表。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でF1関連事業における収益が前年同期比で3割減少した事が明らかとなった。
史上最多全22戦が予定されていた2020年シーズンのFIA-F1世界選手権だが、マクラーレンのスタッフに陽性反応が出た事で、開幕を担う予定であったオーストラリアGPは土壇場でキャンセルされ、現時点で既に序盤10レースの全てが中止・延期に追い込まれている。
フェラーリを含む参戦チームの収益は、F1からの分配金と個別のスポンサーシップ等によって構成されている。レースが行われない事にはF1はホスティング料やテレビ放映権料といった売上を請求できず、それは結果としてチームの財政を圧迫する。
月曜の業績発表によると、3月末までのフェラーリF1関連の収益は為替変動分のプラス影響を受けてなお、前年同期比3,900万ユーロ減(約45億3,541万円)の8,900万ユーロ(約103億5,004万円)だった。これにはライセンスフィーやロイヤリティ収入、フィリップ・モリスを始めとするF1に関するスポンサー契約および昨季のF1分配金が含まれる。
今年も昨年同様に3月末までのレースとしてはオーストラリアとバーレーンの2戦が予定されていたが、いずれも新型肺炎の影響で開催されなかった。減益分は2レースの中止の影響を反映している。フェラーリは減益について「F1シーズンの一時的な停止に伴うレースの開催数の減少、店舗集客の減少、ミュージアムの来館者数の減少など、COVID-19の影響」と説明した。
フェラーリのルイス・カミッレーリCEOは「2020年の当社の業績において、最も厳しい形で悪影響が出ているのがF1での活動」と述べた上で、最大18戦が検討されている改定開催案が実施されたとしても、その大部分は無観客での開催が想定されている事から「収益の2本柱であるスポンサーシップ料及び(F1の)商業権利者からもたらされる収益の”激減”は避けられない」との厳しい見方を示した。
F1のスポーティング・ディレクターを務めるロス・ブラウンは5日(火)、2021年に導入が予定されている予算上限について、現行案よりも更に3,000万ドル(約32億307万円)低い1億4500万ドル(約154億8,152万円)に削減される見通しだと明かし、更なる削減に反対していたフェラーリが立場を翻した可能性が示唆されていた。
F1部門の減益とは対照的にロードカー部門が好調であった事から、会社全体の総売上は前年同期比1%減の9億3,200万ユーロ(約1,083億4,689万円)とほぼ横ばい。累計出荷台数は2,738台と前年同期比128台増で、488ピスタと488ピスタスパイダーが牽引したが、通期売上予測は41億ユーロから34億~36億ユーロに下方修正された。
フェラーリは新型肺炎対策を徹底した上で、長らく閉鎖されていたマラネッロとモデナのファクトリーでの生産活動を4日(月)より再開している。