相次ぐ開催中止でサーキットも悲痛の声…新型コロナの影響で経営逼迫、従業員解雇
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行の影響で、世界経済全体が脅かされている。日本経済への影響については、西村康稔経済再生相が2008年のリーマン・ショックを上回る可能性に言及し、米国は同危機への対応の際に実施したのと同様に、ゼロ金利政策と量的緩和を行う大規模な金融緩和策を発表している。
一部業界を除いて新型コロナウイルスは各企業の経営に大打撃を与えつつあるが、これはレーストラックの運営企業も例外ではない。F1アメリカGPの舞台でもあるサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)は、オースティン現地16日深夜に次の声明を発表し、授業員の解雇に踏み切った事を明かした。
「COTAは競技スペース、レーストラック、競馬場、スポーツスタジアム、カンファレンスセンターであり、ファンや友人達が集い思い出を作り続ける場所だが、今はコンサートやレース、ゲームがなく使用を制限されている」
「当然のことでありまた重要なことだが、祝賀会よりも公共の安全が優先される。我々のコミュニティが健康であり続けること、そしてウイルスが収束した時に、何年もの大切な思い出と共に友人や家族達と再会できることが我々の最大の願いだ」
「オースティンをはじめ世界中からのゲストを迎えるために、一年を通して準備をしてきた従業員たち(彼らの家族を含めて)を思うと胸が張り裂けそうだが、今は仕事がなくて困っている」
「記憶に残るイベントを作り上げる喜びは、世界的危機という残念な現実に取って代わられた。イベント及びホスピタリティ業界にとっては本当に悲惨な時期だ」
「何よりも、すべての人が健康である事を祈っているし、リーダーや専門家の忠告に耳を傾けて欲しいと願っている。そして状況が改善した時に、再びCOTAに戻ってきてくれたら嬉しい」
COTAは4月3日から5日に開催が予定されていたMotoGPのアメリカズGPだけでなく、4月26日のインディカー・シリーズのレースまでをも失った。COTAが位置するテキサス州オースティン市は、少なくとも5月1日までは250人を超える規模の集会やイベントの開催を禁止すると発表しており、5月以降も以降もCOTAの収入源が絶たれる可能性がある。
COTAのボビー・エプスタイン会長は米国メディア”Statesman”に対して「今後90日間だけで、発行済チケット約60万人分に相当するイベントが延期、中止、または危機に瀕している」と述べた上で、解雇した従業員が全体の50%に達した事を認めた。
顕在化していないだけで、同様の問題を抱えているのがCOTAだけでない事は明らかだ。
F1日本GPの開催地である三重県の鈴鹿サーキットは3月に予定されていた「ピレリスーパー耐久シリーズ2020開幕戦 SUZUKA S耐」や、4月に予定されていた「2020 NGKスパークプラグ 鈴鹿2&4レース」の延期を決定。更には敷地内の遊園地「モートピア」を当面の間休園する。
ヨーロッパ最大の被害が出ているイタリアのモンツァ・サーキットでは、ウイルスの影響で少なくとも4月3日までの全てのイベントがキャンセルされ、F1スペインGPの舞台であるカタロニア・サーキットは3月のアルティメットCupと、4月の欧州ルマンシリーズ及び世界ラリークロス選手権の延期を発表。サーキットレンタルや各種ツアーを含めた全てのアクティビティを少なくとも4月5日まで中止としている。