F1アゼルバイジャンGP決勝レース直前のホームストレートの空撮、バクー市街地コースにてcopyright Pirelli & C. S.p.A.

2020年のF1は本当にアゼルバイジャンで開幕出来るのだろうか?

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に猛威を振るう中、F1世界選手権は第4戦までの全てのイベントを中止(公式表現としては延期)したが、実際にはこれに続くオランダ、スペイン、モナコの3戦も中止あるいは延期が濃厚と見られており、F1は6月のアゼルバイジャンGPでのシーズン開幕に期待を寄せている。

しかしながら、スペインは13日に非常事態を宣言し、人の移動を制限するために生活必需品以外の店舗の営業を停止。フランスでも14日に同様の措置の実施が発表された。ヨーロッパを中心に状況が更に悪化する中、2020年シーズンのF1は本当にアゼルバイジャンで開幕を迎えられるのだろうか?

2019年F1アゼルバイジャンGPでレーシングポイントのセルジオ・ペレスと争うレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン
© Getty Images / Red Bull Content Pool、2019年のF1アゼルバイジャンGP

アゼルバイジャン国内の感染者数は13日現在で累計19人、死者は1人と、母数となる人口を考慮しても、イベント中止に追い込まれたオーストラリア(感染者数199名、死者3名)より流行の程度は限定的だが、同国政府は今月に入って国内での大規模イベントの中止を決定している。アゼルバイジャンGPは言わずもがな、首都バクーの公道を舞台に行われる超大規模イベントだ。

また、首相府新型コロナウイルス対策本部は12日、同国へ入国する全ての外国人に対して、体温が37度以上の場合に14日間の隔離措置を行うと発表。更に、過去14日間に中国、韓国、イタリア、スペイン、フランス、ドイツ、イラン、そして日本への訪問・滞在歴のある全ての渡航者に、新型コロナウイルスの陰性証明書の提出を義務付けた。そもそもF1関係者が入国できるかすら疑わしい。

仮にアゼルバイジャンが国内でのウイルス封じ込めに成功し、一切の入国制限を撤廃してもなお問題は残る。

今や中国を越しかねない勢いで感染が拡大しているイタリアは、マラネッロやファエンツァなどF1チーム本拠地を含む全土が封鎖措置に置かれている。フェラーリは当面の間、ロードカーの生産を中止してファクトリーを閉鎖すると発表。これにはスクーデリア・フェラーリ、つまりF1部門も含まれている。ルイス・カミッレーリCEOは次のように述べている。

「我々がこの行動方針を決定したのは、献身的なサプライヤーや従業員達に対する敬意の表れであり、彼らの家族のためである」

同様の問題はフェラーリ以外の全てのチームに起こりうる。チームのファクトリーに問題がなくとも、サプライヤーが問題を抱えて連鎖的に影響が及ぶ可能性もある。

先のメルボルンでのイベントは「関係者に一人でも陽性反応が出れば中止」という前例を作り上げた。無論、状況次第(トト・ウォルフにダイムラーからの電話がなければ)では強行開催もあり得たわけだが、前例というものは後の全ての判断基準として位置づけられ、強力な力を持ってしまう。

上記はいずれもアゼルバイジャンに限った話ではなく、どのグランプリにも当てはまる。F1はスポーティング・ディレクターを務めるロス・ブラウンをして「最低でも17戦は堅い」としているが、少なくとも現在の各国の状況は、2020年シーズンのF1が開幕する事すらなく終わる可能性がある事を示唆している。

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