
角田裕毅、背水の陣「絶対にQ3に進出しなきゃならない」一方でタイム改善”必至”の秘策あり? 初日15番手と下位に
マイアミGPを最後に、3戦連続でQ3進出を逃している角田裕毅(レッドブル・レーシング)は、6月13日に行われた2025年F1第10戦カナダGPの初日を終え、強い危機感をあらわにした。
「絶対にQ3に進出しなければなりません。それが目標です」
金曜2回のフリー走行を終えた角田は、迷いのない口調でそう言い切った。イモラでのQ1クラッシュ、モナコでの12番手、スペインでの最下位スタート。一方でチームメイトのマックス・フェルスタッペンは全戦でQ3進出を果たしており、角田だけが取り残されている現実は重くのしかかる。
カナダでの初日FP2では特に、ミディアムタイヤでのロングランが懸念事項として浮かび上がった。フェルスタッペンに対して、1周あたり約1.28秒(9周平均)もの遅れを取り、特に5周目以降はラップタイムが一気にコンマ5秒近くも落ち込んだ。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
グリッド上でスタート練習に取り組む角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年6月13日F1カナダGP FP2(ジル・ビルヌーブ・サーキット)
一方で興味深いのは、角田自身がマシンに大きな不満を抱いていないことだ。「感触自体は悪くなかったと思います」と振り返った。実際、FP1からFP2にかけてショートランではフェルスタッペンとの差を約0.5秒縮め、0.273秒差にまで迫った。
「明日に向けて予定されているものがあるので、それがあれば、たぶん“フリー”でラップタイムが少し上がるはずです」
フェルスタッペン車のみに投入されているアップグレードなのか、それともチームが用意するセットアップの改良案なのか——この謎めいた発言の真意は明らかでないが、少なくともマシンの「挙動」に好影響を及ぼすことが期待されるものだという。
いずれにせよ、本人曰く「十分ではない」にしても、FP1からFP2にかけてセットアップ面での進歩を実感したという角田の言葉からは、確かな手応えと小さな希望が感じられる。
一方で、絶対的エースのフェルスタッペンも、決して楽観視できる状況にはない。FP1ではトップタイムをマークしたが、FP2では9番手まで後退し、マシンバランスの不安定さを口にした。
「FP1ではクルマに満足できていたけど、FP2では別の理由で少し苦戦した。バランスが悪くなって、少しクルマとの一体感がなくなってしまった」
レッドブルというチーム全体がライバルからのプレッシャーにさらされている構図が浮かび上がるが、それでも、希望は残されている。
フェルスタッペンはロングランでマクラーレン勢と互角のペースを見せた。角田も件の「それ」によって本来のパフォーマンスを取り戻す可能性を秘めている。土曜の予選に向け、両者はどこまで仕上げてくるのか。期待される。
2025年F1カナダGPの初日FP2をトップで締め括ったのはジョージ・ラッセル(メルセデス)。2番手ランド・ノリス(マクラーレン)を0.028秒差で退けた。3番手にはトップから0.288秒遅れでアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)が続く結果となった。
FP3は日本時間6月14日(土)25時30分から、公式予選は同29時から1時間に渡ってジル・ビルヌーブ・サーキットで開催される。セッションの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。