
ハジャー「おっかないよね」レッドブル昇格に慎重、角田裕毅の苦戦を目の当たりに
2025年のF1デビューイヤーで既に印象的な活躍を見せているアイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)だが、レッドブル・レーシングへの昇格の可能性について「まだ準備ができていない」と語り、慎重な姿勢を示している。
昨年のFIA-F2選手権でランキング2位を獲得したハジャーは今年、レッドブルの姉妹チームであるレーシング・ブルズからF1にステップアップ。開幕9戦を通じてルーキーとは思えぬ安定したパフォーマンスを披露し、注目を集めている。
開幕9戦で獲得したポイントは21点。これは、角田裕毅を含む4名のレッドブル系ドライバーの中で、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)に次ぐ成績であり、現在ドライバーズランキングでは9位につけている。
この好調ぶりに加え、フェルスタッペンがペナルティポイントの累積により出場停止リスクを抱えていることから、ハジャーが一時的に代役を務める可能性が取り沙汰されている。また、早ければ2026年シーズンに角田の後任として昇格するのではないかという見方も浮上している。
しかしながら、第10戦カナダGPを前にモントリオールでハジャーは、昇格について「ちょっと、おっかないよね!」と冗談交じりに語り、「ただ、自分の中ではまだ準備ができているとは思ってないんだ。まだF1で9戦しかしていないし、すごく複雑な世界だと思うからね」と続けた。
また、同じようにレーシング・ブルズからレッドブルへ昇格しながらも苦戦を強いられている角田やリアム・ローソンの名前を挙げ、拙速な昇格がキャリアにとってリスクとなる可能性を認めた。
「ユーキやリアムを見ても分かるけど、彼らは本当に優れたドライバーなのに、それでも苦戦している。だから、十分に準備できているとは思ってない」
ハジャーが指摘するように、フェルスタッペンのチームメイトというポジションは、F1でも屈指のプレッシャーが伴う役割であり、過去には多くの有力ドライバーがその重圧に苦しんできた。
レーシング・ブルズのピーター・バイエルCEOも、ハジャーを可能な限り長くチームに留めたいとの意向を明かしており、スイスの『Blick』紙に対して次のように語っている。
「この才能ある若者をそんなに早く我々から取り上げないでくれという気分だ。彼には2026年末までここでF1というビジネス全体をしっかり学んでほしいと思っている。それまでの間は、手錠でもかけて引き留めるしかないね!」
また、2016年のF1ワールドチャンピオン、ニコ・ロズベルグも、たとえレッドブルから昇格の打診を受けたとしても、現時点でハジャーは「断るべき」と警鐘を鳴らしている。
とはいえ、ハジャー自身は将来的なレッドブル昇格の意志を否定しているわけではなく、「もし電話がかかってきたら、いつでも応じるつもりではいる。それは間違いないよ」とも語る。
「やっぱり好奇心はあるしね。マックスと同じクルマに乗って、最高峰の世界がどんなものか、味わってみたい気持ちはある」
「でもその一方で、今はVCARBでの時間をすごく楽しんでいるし、いい流れの中で多くを学んでいる。将来のために準備をしている段階だし、その後に、その“電話”を待つだけだよ」