F1イギリスGPの木曜プレスカンファレンスで拳を合わせるアルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーとレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン、2021年7月16日
Courtesy Of Red Bull Content Pool

フェルスタッペンの隣は”鬼門”、ピエール・ガスリーにレッドブル以外のトップチームでの活躍を望むF1界の名将

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どうしてレッドブル・ホンダでの2度目のチャンスが与えられないのか分からない…そう嘆くピエール・ガスリーに対し、F1のスポーティング・ディレクターを務めるロス・ブラウンはレッドブル以外のトップチームでの更なる活躍を望んでいる。

ガスリーは2019年にレッドブルへの昇格を掴み取ったものの、フェルスタッペン相手に見劣りするパフォーマンスに甘んじ僅か12戦で戦力外通告を受け、アレックス・アルボンにシートを奪われ古巣ファエンツァのチームに出戻る形となった。

だが、決して腐る事はなかった。この年の残りの9戦では5回の入賞を飾り、第20戦ブラジルGPではルイス・ハミルトンを抑えて2位でチェッカーフラッグを受け、1991年の日本GP以来となるホンダの1-2フィニッシュに貢献した。翌年のイタリアGPではキャリア初優勝を挙げ、今季はアゼルバイジャンGPで再びポディウムに上がった。

そして9月5日に開催されたF1第13戦オランダGPでは、マックス・フェルスタッペンとメルセデス勢に次ぐ4位フィニッシュを飾ってドライバーズランキング8位に浮上。予選でもトップクラスのスピードを見せつけるガスリーは、ベルギーとオランダの2戦連続でシニアチームのセルジオ・ペレスを上回った。

純粋な1ラップペースでペレスを上回る能力がありながらもレッドブル再昇格のチャンスが与えられないのは何故なのか? ザントフォールト・サーキットでのレース後にそう問われたガスリーは「どうしてだろうね」と述べ、改めてセカンドチャンネルへの希望を口にした。

フェラーリ黄金時代の立役者、名将ロス・ブラウンはオランダGP後のコラムの中で「ピエールはF1で益々多くのファンを獲得しているが、実は私もその一なんだ」と自身が影のサポーターである事を明かし、レッドブルが再び彼を起用しない限りガスリーが他チームからのオファーを得てファエンツァのチームを去るのは時間の問題との考えを示した。

「レッドブルのワークスチームから降格となり苦境に立たされていた彼が、ワークスチームに及ばないマシンで初の勝利を挙げ、更にはこれほど安定して力強いパフォーマンスを発揮している事は本当に素晴らしい事だ」

「献身的であり続けている事が何より称賛されるべき点だ」

「彼は将来的に今とは異なる道を歩むだろう。もしレッドブルのワークスチームに戻るチャンスが来なければ、彼がファミリーに留まる事はないだろう。今の状況に留まり続けるのはもったいないと私は思っている」

「彼の仕事は卓越している。いつかチャンスが巡ってくると私は思う」

フェルスタッペンの隣のシートを”鬼門”と考えるロス・ブラウンは、25歳のフランス人ドライバーにレッドブル以外での活躍を望んでいる。

「マックスと同じチームで彼の隣に座れる者はいない。我々はこれまでそんな状況を目にし続けてきた」

「これは複利効果なのだ。ミハエル・シューマッハとそのチームメイトにも言える事だが、チームメイト間の力の差は小さくとも、真に優れたドライバーとの差を縮める事ができないもどかしさのために、なぜかその差が増大してしまう」

「頑張り過ぎてしまったり、差を埋めようと必死になり過ぎてしまう事で、状況がかえって悪化してしまう事がある」

「それはピエールやアレックス・アルボン、そしてセルジオにも共通して言える事だ。マックスは単に例外的な存在であって、同じチームのドライバーが彼と折り合いをつけるのは難しい」