2021年3月27日、F1バーレーンGP予選でポールポジションを獲得しガッツポーズを取るレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン
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フェルスタッペン、損傷で性能低下も大差での圧勝ポール「今日の結果はホンダに負うところが大きい」

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問題があると言いつつも、常にその課題を乗り越え支配的な力を見せつけてきたメルセデス。苦戦を口にしながらも予選では本領を発揮し、レッドブル・ホンダに迫る、あるいは上回るサプライズを見せるかと思われただけに、マックス・フェルスタッペンに対して全く太刀打ちできないままに終わったのは逆の意味での驚きだった。

闇夜に光り輝くバーレーン・インターナショナル・サーキット。3月27日(土)現地18時から行われた2021年シーズン最初のグリッド争いはフェルスタッペンの独壇場だった。

2021年3月27日、F1バーレーンGP予選でポールポジションを獲得し、パルクフェルメで祝杯を上げるレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンCourtesy Of Honda Motor Co., Ltd

2021年3月27日、F1バーレーンGP予選でポールポジションを獲得し、パルクフェルメで祝杯を上げるレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン

予選Q1では僅か1撃で角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)にコンマ1秒差のトップタイムを叩き出し、続くQ2では決勝のスタートタイヤを見越してミディアムタイヤ(C3)で7番手タイムをマーク。ソフトより一段硬めのC3コンパウンドを履いてQ3進出を決めたのは僅か4名だった。

そして迎えた最終Q3では、1回目のアタックで暫定ポールに付けると、0.023秒差の2番手ルイス・ハミルトン(メルセデス)を更に引き離すべく最終アタックに向い、3つのセクター全てで最速を刻むパーフェクトラップを決め、後続にコンマ4秒もの差を付けてキャリア通算4度目のポールポジションを獲得した。

Q3でのファーストアタックを終えてのハミルトンとの差は1000分の23秒という僅差であったが、フェルスタッペンには更に差を広げる自信があった。

「基本的にQ3の最初アタックラップは最高というわけじゃなかったから、もっと縮められると思ってた。どの位かは分からないけどね。でも最終的にはバランスが取れて、余計にプッシュする事ができた」とフェルスタッペンは語る。

「路面がかなり熱かったから、リアタイヤをオーバーヒートさせないよう気をつけなきゃならなかったけど、幸いにも上手くやる事ができた」

「今週末は全体としてクルマの調子が本当によく、ドライブしていて凄く楽しかった。もちろん、セッション毎に風向きが大きく変化するからセットアップは簡単じゃなかったけどね」

「それでも予選ではすべてが完璧に機能してくれた。もちろん、ポールポジションには本当に満足だよ」

最終的にその差はコンマ4秒に達したわけだが、何事もなければ更に大きなギャップを築いていた可能性もある。

フェルスタッペンはQ1での走行の際、ターン2で縁石を横切るミスを犯しフロアの一部を破損した。Q2以降はダウンフォースを失いながらの戦いだった。

レッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表は、ダメージによるRB16Bのパフォーマンスダウンを1周あたりコンマ1秒程度と見積もった。仮にノーダメージであったならば、90秒サーキットで0.5秒ものギャップが付いていた可能性がある。

予選セッションを振り返ったフェルスタッペンは「今日の結果はホンダに負うところが大きい」と述べ、この日のポールポジションは日本のエンジンメーカーなくして叶わなかったとの考えを示した。

2021年末の撤退を前に、HRD Sakuraの技術力とオールホンダの総力を結集して生み出された新型パワーユニット「RA621H」は、パワーと信頼性向上のためにICE(内燃エンジン)、タービン、ERS(エネルギー回生システム)に変更が加えられた。

中でもICEに関しては、設計の根幹に関わるボアピッチを短く変更しバルブ開閉を司るカムシャフトの位置を下げるなどレイアウトが一新されており、エクソンモービル開発の新燃料との相乗効果による性能向上のほか、低重心・コンパクト化によって車体を含めたパッケージ全体の競争力改善が図られている。

今日の結果はホンダに負うところが大きい

マックス・フェルスタッペン予選: 1位, FP3: 1位

ポールポジションが取れた本当に良い気分だ。こんな形でシーズンをスタートできるのは初めてだよ。

昨年のアブダビで勝利以降、チーム全員が高い士気を以て懸命にプッシュし続けてきた。この先のシーズンについての保証は何もないけど、現場とファクトリーにいるみんなが素晴らしい仕事をして、僕にこのクルマを用意してくれた。みんな大いに胸を張って良いと思う。

ホンダもこれまで同様にオフシーズンを通して懸命に作業に取り組んでくれた。彼らは常に全力を尽くす人たちで、僕らと同じように勝利を望んでいる。一緒に働くのは本当に楽しいし、情熱に溢れているところが好きなんだ。今日のこの結果はホンダに負うところが大きい。

今日までは自分達の立ち位置を知る術もなく、予選がどうなるのか見当がつかなかったけど、Q3で素晴らしいラップを決めることができ、クルマの感触も良く、本当に満足だ。

明日はこの仕事をしっかり終わらせて結果を出さなきゃならないけど、上手くスタートが切れれば良い仕事ができるはずだ。


2021年 F1バーレーングランプリ決勝レースは、日本時間3月28日(日)24時10分にスタート。1周5412mのバーレーン・インターナショナル・サーキットを57周する事でチャンピオンシップを争う。

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