2020年サクヒール予選でポールポジションを獲得したカーリンの角田裕毅
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アルボンの動向は角田裕毅のアルファタウリ・ホンダF1昇格に影響なし、シート喪失の場合は”ベンチ入り”

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2021年シーズンのアルファタウリ・ホンダのシートはあくまでも角田裕毅のもののようだ。クリスチャン・ホーナー代表は、仮にアレックス・アルボンが来季レッドブル・ホンダのシートを喪失したとしても、姉妹チームに降格する事はないと認めた。

前戦バーレーンGPで2度目の表彰台を獲得したとは言え、シーズンを通してチームメイトのマックス・フェルスタッペンに遅れ続けているアルボンは、サクヒールとアブダビの2戦でチーム残留の資格がある事をモータースポーツ・アドバイザーのヘルムート・マルコに証明しなくてはならない。

ホンダとレッドブル双方の支援を受けてカーリンからFIA-F2選手権を戦う角田裕毅は、F1出走要件であるスーパーライセンス取得のために最低でもランキング5位でシーズンを終える必要があるが、4日(土)に行われた最終ラウンドの予選で今季4度目のポールポジションを獲得し、ボーナスの4点を加えてロバート・シュワルツマン(プレマ)を抜き去りランキング4位に浮上した。

ピエール・ガスリーが昨年レッドブル・ホンダのシートを失った際はファエンツァのチームへと送り返されたが、サクヒールGPのFP1後に行われた会見の中でホーナーは「彼がフランツ(トスト / アルファタウリ・ホンダ代表)の来年の計画に含まれているとは考えていない。よって(来年のアルボンは)レッドブルのシートに座るか1年間ベンチにいるかのどちらかだ」と述べ、降格の選択肢はないと説明した。

「我々としては彼にチャンスを与える事にフォーカスしている。チャンスは後2レースだ。彼は先週末のレースでF1での通算2回目の表彰台を獲得する素晴らしい仕事を果たした。それにFP1の走りも良かったし、今週末も良い形でスタートを切った」

「自身が来年のマックス(フェルスタッペン)の隣に立つべき間違いのない適任者である事を証明するために、彼にはあと2回の週末が与えられている。その目標を達成させるために我々は彼にできる限りのサポートをしている」

ピエール・ガスリーの2021年アルファタウリ・ホンダ続投が決まっている一方で、ダニール・クビアト本人が「可能性は微々たるもの」と認める通り、ロシア人ドライバーのシート喪失は確実と見られており、アルファタウリ・ホンダには1席空きがある。

何故アルファタウリ・ホンダへの降格という選択肢がないのだろうか? 姉妹チームでドライブさせるより、ベンチに座らせる方が得策だと考えているという事なのだろうか?

ホーナーはシーズンを終えてから全てのオプションを評価するつもりだとした上で「全てのレッドブルドライバー達がそうであるように彼には長期契約がある」と、答えにならない答えを返したが、実際には角田裕毅の昇格内定が決まっているためだと考えられる。

ただし、角田裕毅がランキング6位以下に終わりライセンスの発行基準を満たさない可能性は否定できない。その場合はどうなるのか?

これについてフランツ・トスト代表は「当然プランBを用意している」と主張。隣に座っていたホーナーはマスクの下に悪戯な笑いを浮かべながら「(もし角田裕毅がスーパーライセンスを取得できなければ)フランツにとって大問題だ。フランツが彼のパフォーマンスに夢中になっているのは明らかだからね」と述べた。

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