ガレージ内で待機する角田裕毅、2020年11月4日イモラテストにて
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更に注目高まるF1バーレーンGP…不敵!角田裕毅、相手が例えガスリーでも「負けるつもりはない」

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波乱のトルコGPを以て、2020年シーズンのドライバー及びコンストラクターズの両選手権タイトルは例年通りメルセデスとルイス・ハミルトンに決まってしまったが、今シーズンのF1の楽しみはまだ終わってはいない。

イモラ・サーキットで行われたプライベートテストで2018年型「STR13」をドライブして約350kmを走り込み、フリー走行限定ライセンスの発給が認められる見通しとなった今、来季F1デビューを目指す角田裕毅の次なるステップは、バーレーンGPでのF1フリー走行への参加となる。

ウェットタイヤを履いてイモラ・サーキットを走行する角田裕毅駆るトロロッソSTR13、2020年11月4日
イモラ・サーキットを走行する角田裕毅 / © Honda Motor Co., Ltd

実現すれば、アルファタウリ・ホンダのレギュラードライバーのいずれかと直接比較される事になるが、角田裕毅は仮に相手がピエール・ガスリーであっても、それを上回るラップタイムを狙っていくと言い切ってみせる。

乗る以上は相手がガスリーであっても打ち負かす

11月13日配信のDAZNの特別番組「HONDAの躍進 EP6 Part1」に出演した角田裕毅は「実際に乗れるかどうはまだ分からない」とした上で、仮にバーレーンでF1マシンをドライブする機会が与えられるのであれば、同じAT01のステアリングを握るのが誰であれ、負けるつもりはないと主張した。

「例えば相手がガスリー選手だったら、彼のタイムを上回る事を目指していくつもりです」と角田裕毅。

「乗れる事になればそれは楽しみでしかないので、そのつもりで全力で挑んでいきたいです。1周目から100パーセントの力を出して、1コーナーに向けてフルロックする位、思い切りいきたいと思います」

HONDAの躍進 EP6 Part1:角田裕毅 F1初テスト、角田裕毅(レーシングドライバー) 熱田護(フォトグラファー) サッシャ(実況アナウンサー)
courtesy of DAZN

仮に来季F1昇格が実現すれば、チームメイトとなるのはそのガスリーだ。キャリア通算61戦、F1での4シーズン目を迎えたフランス人ドライバーは、優勝1回、表彰台2回、ポイント獲得27回を誇る。今年は僚友ダニール・クビアトの2.5倍近くものポイントを稼ぎ出し、名実ともにチームのエースドライバーへと成長を遂げた。

ルーキーシーズンという点を加味すれば、時折相手を上回れれば上々といったところだが、角田裕毅の思考にそのような及び腰の控えめなロジックは存在しない。20歳の日本人ドライバーは、相手がガスリーであっても「もちろん最初から負けるつもりはありません」「時々勝つのでは駄目」とキッパリ。微塵も臆するところがない。

物怖じしないとは角田裕毅にこそ相応しい。これまでにこの手のタイプの日本人F1ドライバーがいただろうか?

角田裕毅について、イモラテストを現場で見守っていたフォトグラファーの熱田護氏は番組の中で、初のF1テストという事で神経質になっていてもおかしくないものの「目線をくれるそういう余裕がある。初めてF1に乗った人の中で、今まで僕は彼のような人に会ったことがない」と表現し、逆に自身の方が緊張し通しであったと語った。

コンマ3秒落ち!? ラップタイムは既に肉薄?

イモラテストでの最優先事項は、F1フリー走行限定ライセンスの取得要件を満たすこと、つまり300km以上の距離を走り込む事にあった。実際、チーム側もラップタイムは重視していなかった。

角田裕毅によるとフランツ・トスト代表は彼に対し、始めから限界を探るのではなく徐々にブレーキングポイントを遅らせていき、ドライビングとラップタイムとを感覚的にシンクロさせていく方がタイム短縮の近道であるとして、まずはクルマに慣れる事を優先して楽しんで走るようアドバイスを送った。

「フランツさんにもラップタイムは全く気にしなくて良いと言われていました。とにかくクルマに早く慣れろと」と角田裕毅。

コックピットに座りながらエンジニアと会話する角田裕毅、2020年11月4日イモラテストにて
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この日のラップタイムは非公開だが角田裕毅は、F1開幕前の今年6月に同じSTR13を持ち込んで行われたイモラテストの際のガスリー並びにクビアトと比較して、自身のラップタイムがコンマ3・4秒落ちであったと明かした。

角田裕毅本人も認める通り、無論、コンディションもプログラムも異なるため一概に比較できるものではない。とは言え、そんなコンマ3秒落ちのラップタイムに伸び代があった事は確かなようだ。

この日のテストは気温14度のハーフウエットから始まり、徐々にドライへと路面状況が変化していったが、予選シミュレーションを実施した際は一部の高速コーナーの路面が乾き切っておらず、目標とする300kmに達していなかった事もあり、角田裕毅はマージンを取って走行を行っていたという。

更に目標のマイレージを消化した後は、燃料を積んだ状態でのレースシミュレーションに取り組んでいたためペースは7・8割程度と、1日を通して100%でプッシュする機会が得られなかった。

出自からしてそうだが、ファエンツァのチームは長きに渡って若手F1ドライバーのインキュベーターであり続けてきた。角田裕毅はアルファタウリ・ホンダについて「イタリアのチームだけあって雰囲気はすごく明るく、誰もが本当にフレンドリーで面白い」と述べ、デビューチームとして理想的だと同意した。

F1第15戦バーレーンGPは11月27日~29日にバーレーン・インターナショナル・サーキットで開催される。カーリンから今季FIA-F2選手権に参戦する角田裕毅は、同じ日程、同じ会場でF1のサポートレースとして開催されるF2第11戦サクヒールに参加する傍ら、アルファタウリ・ホンダからF1のフリー走行1に出走する可能性がある。


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角田裕毅が出演する「HONDAの躍進 EP6」の第二弾は11月20日(金)に配信される。DAZNは、スマホやPC、タブレット、PlayStation4やXBox Oneなど幅広いデバイスで視聴可能なスポーツ専門のストリーミング配信サービスで、F1、F2、F3の他にもパ・リーグ、Jリーグ、UEFAチャンピオンズリーグ、テニス、バスケットボール等、年間10,000試合以上のコンテンツが配信されており、登録初月は無料となる。

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