
アルボン&ラッセル、サインツ不在の“罰金いじり”が止まらない爆笑メディアペン―浮かび上がる現行F1罰則の問題点
2025年F1第4戦バーレーンGPの金曜フリー走行後、メディアペンでウィリアムズのアレックス・アルボンとメルセデスのジョージ・ラッセルが軽妙なトークを展開。カルロス・サインツに科された「うんち罰金」にまつわるジョークで盛り上がった。
この日のFP1でアルボンは、同僚のリザーブドライバー、ルーク・ブラウニングと接触しかけるヒヤリハットを演じた。ターン13の高速セクションで、アウトラップ中のブラウニングの進路に立ち塞がる形となり、ブラウニングはランオフエリアに飛び出て衝突を回避した。
ヴィタントニオ・リウッツィを含む4名のスチュワードは一件について、アルボンが「不必要に走行を妨害」したと認定。後方からの接近をアルボンに警告しなかったウィリアムズに対し、罰金を科す決定を下した。
スチュワードは「高速域でかなりの速度差があったことを踏まえると、かなり深刻な事態にもなり得た」と指摘している。にもかかわらず今回の罰金額は、サインツが前戦日本GPで国歌斉唱に遅れたことにより科された“うんち罰金”──2万ユーロ(約326万円)──よりも安い7,500ユーロ(約122万円)にとどまった。
事件そのものはシリアスだったが、事後のインタビューでは一転、爆笑の展開となった。F1 TVのインタビューに応じていたアルボンに対し、隣で別の取材を受けていたラッセルが割り込み、「チームメイトにぶつかりかけたこと、話してやれよ!」と茶々を入れた。
アルボンは笑いながら「リーダーは誰かってとこを見せとかないとね。俺がボスだ、ナンバー1だって威嚇しといた!」と冗談交じりに返答。続けてラッセルから「あの件でペナルティ受けた?」と尋ねられると、「いいや」と答えたが、インタビューアーから罰金が科されたことを知らされ眉間にシワを寄せた。
「払わないけどね。俺のせいじゃないし」と主張するアルボンに対し、ラッセルは「でも、カルロス(サインツ)の“うんち”よりはマシだろ!」とツッコミんだ。日本GPでサインツは、腹痛から国歌斉唱セレモニーに5秒遅刻し、2万ユーロの罰金を科された。
アルボンは笑いながら「うんちするのと、チームメイトを吹っ飛ばすの、どっちがお得?」と問いかけ、少し考え込んでから、自ら「チームメイト吹っ飛ばす方だね!」と答えた。ラッセルも即座に「そっちの方が安い!」と応じ、現場は笑いに包まれた。
インシデントそのものについては、「ちょっとしたコミュニケーションの行き違いだった。無線で彼(ブラウニング)が来てるとは聞いてなかった」と釈明し、「お互い慌ただしくプログラムをこなしている最中だったし、誰が悪いわけでもなく、ルークがうまく避けてくれて助かったよ」と語った。
なお二人が爆笑するその背後には、当のサインツが立っていたが、やり取りの内容には気づいていない様子だった。
深刻な接触事故につながりかねない行為よりも、式典への遅刻の方が重く処罰されるという事実。軽妙なやり取りの陰で浮かび上がったのは、現行罰則制度の妥当性に対する問いかけだった。