
サインツ、さらなる制裁覚悟でFIAに怒りの声「かなり高くついたトイレ」ラッセルも擁護
カルロス・サインツ(ウィリアムズ)は、2025年F1第3戦日本グランプリで科された罰金処分に対し、さらなる罰則のリスクを承知の上で悪態をつき、国際自動車連盟(FIA)を非難した。
体調不良も”5秒”の遅刻で1万ユーロ
4月6日に鈴鹿サーキットで行われた日本GP決勝前の国歌斉唱セレモニーにおいてサインツは、わずか5秒の遅刻を理由に、うち1万ユーロを12カ月間の執行猶予付きとする計2万ユーロ(約322万円)の罰金を科された。
サインツは、トイレに駆け込む必要があるほどの腹痛に見舞われていたと釈明していたが、FIAスチュワードは「定刻に間に合うよう、あらゆる事態を想定して行動すべきである」との立場を崩さず、例外を設けることなく処分を科した。なお、サインツの体調不良については、医師によって薬が処方されていたことからも、その事実が裏付けられている。
この件について、サインツは第4戦バーレーンGPの木曜公式記者会見で、意図的に「shit(クソ)」という言葉を用い、公然とFIAを批判した。
「5秒遅れただけで1万ユーロの罰金なんて、どんな額であれ理不尽だ。もしかしたらまた罰金を食らうかもしれないけど……クソったれだ」と語気を強めた。
「やむを得ず遅刻してしまうことだってあるのに。1万ユーロだよ?それも5秒で。がっかりだよ」
「僕は時間を守ることを大切にしている。特に国歌やその場にいる関係者への敬意を表す場では尚更ね。だから自分が遅れたことについては真っ先に認めて、『遅れてすみません』と謝罪したよ」
モハメド・ベン・スレイエム会長の下でFIAは、記者会見などの公の場における不適切な言葉遣い(暴言)への取り締まりを強化しており、昨年9月のシンガポールGPではマックス・フェルスタッペンが類似の発言により、社会貢献活動の義務を課された。
その後、FIAは今年1月に競技規則を改定し、こうした言動に対する処罰を厳格化した。新たなルールでは、初回の違反で4万ユーロ、2回目で8万ユーロ、3回目には12万ユーロの罰金に加えて1か月のレース出場停止と選手権ポイントの減点が科されることになっている。
「かなり高くついたトイレ」ラッセル擁護
英Autosport誌によると、この処分に対しては、グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション(GPDA)の理事であるジョージ・ラッセル(メルセデス)も「かなり高くついたトイレだ」と皮肉を交えてコメントし、サインツを擁護した。
「正直、国家斉唱の場に間に合う義務があることは理解しているけど、それってみんなが思ってるほど簡単なことじゃないんだ」と述べ、「トイレが空いてないなんてこともあるし、グリッド上で誰かに話しかけられたり、取材を受けたりして足止めされることもある」と“現場の事情”を強調した。
「つまり、『ただそこにいればいい』っていう単純な話じゃないんだ。僕らだって、レースに向けて色々とやらなきゃならないわけで、時間通りにぴったり合わせるのは、実際は難しいこともあるんだ」
「F1側の立場も理解してる。あの瞬間がどれだけ重要かもわかってる。でも、ドライバー側にも本当にリアルで切実な“現場の事情”があって、時にはトイレの個室が空くのを待ってる、なんてこともあるんだよ」
さらにサインツは、科された罰金の使い道についても疑問を呈し、「この1万ユーロがどこに行くのか知りたい。もし“良いこと”に使われるという説明があれば、少しは納得できるんだけどね」と語った。