数百億円の賞金を巡る決戦─F1カタールGPでの決着条件、2024年コンストラクターズ選手権の行方
2024年のF1ドライバーズタイトルは、マックス・フェルスタッペンがシーズン2戦を残した前戦ラスベガスGPで確定させたが、コンストラクターズ選手権はまだ決着していない。
ドライバーズタイトルが名声をもたらす一方で、コンストラクターズタイトルは巨額の賞金分配に直接影響する。
賞金プールは各シーズンのF1の商業収益の50%が原資となり、2023年には約16億ドル(約2,470億円)に達したとされる。この中から、フェラーリが受け取る5%の特別ボーナスを含む一部が差し引かれた後、残額が10チームに分配される。
2023年に優勝したレッドブルは推定で約14%(約210億円)を受け取ったと見られる。一方、最下位チームは約6%の分配で、順位ごとの差は約13億円と推定される。中団や後方争いが熾烈を極める理由もここにある。
現在、マクラーレンは総合ポイント608点でトップに立ち、フェラーリ(584ポイント)に24ポイント差をつけている。レッドブルは555ポイントの3位だ。
- 1位:マクラーレン 608ポイント
- 2位:フェラーリ 584ポイント(-24)
- 3位:レッドブル 555ポイント(-53)
シーズンの残り2戦で獲得可能な最大ポイントは103点。これは、カタールGPとアブダビGPで1-2フィニッシュを決め、ファステストラップのボーナスポイントを追加し、さらにカタールのスプリントでも1-2フィニッシュを収めた場合の数字となる。
マクラーレンのカタール戴冠条件
マクラーレンが1998年以来となるコンストラクターズタイトルをカタールGPで決めるためには、フェラーリに対して45ポイント以上のリードを築いて週末を終える必要がある。
アブダビGPでの最大獲得可能ポイントが44点であるため、この差があればフェラーリがアブダビで最大ポイントを獲得しても追いつかれることはない。
現状のリードが24ポイントであるため、マクラーレンはカタールGPでフェラーリに21ポイント以上の差をつけなければならない。また、レッドブルに9ポイント以上の差を縮められないことも条件だ。
ただし、カタールGPの決勝で勝利すれば、フェラーリとの差を20ポイント広げるだけで十分だ。仮にポイントが並んだ場合でも、マクラーレンはこれまでの優勝回数でフェラーリを上回るため、タイトルを獲得できる。
フェラーリの逆転シナリオ
フェラーリはカタールGPでタイトルを確定させることはできない。
たとえ理論上の最大ポイントである59点を獲得し、マクラーレンが無得点に終わったとしても、アブダビGP前におけるマクラーレンに対するリードが35点に留まるため、最終戦で逆転される可能性が残る。
レッドブルの可能性は?
モータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコが早々に白旗を上げたように、レッドブルのタイトル獲得の可能性は絶望的だ。
昨年のチャンピオンチームは現在、マクラーレンから53ポイント差、フェラーリから29ポイント差の3位に留まっている。
理論上、レッドブルがカタールでの週末を終えてコンストラクターズ選手権首位に立つことは可能だが、それには計54ポイントを獲得した上で、マクラーレンが無得点、フェラーリの加点が24ポイント以下に留まる必要がある。