
アストンマーティン・ホンダなぜ躍進? 今季初ダブルQ2を支えた要因とは、最下位争いから一転「奇跡」のセパン中団争い
直近3戦で最下位争いを繰り広げていたアストンマーティン・ホンダは、なぜ突如としてセパン・インターナショナル・サーキットで2台揃ってQ2に進出するまで競争力を引き上げたのか。
10月3日(土)に行われた2026年F1第16戦バーレーンGP予選で、フェルナンド・アロンソは今シーズン最上位の12番手を記録した。16番手をマークした第11戦ハンガリーGP以来となる、今季2回目のQ2進出だった。
ランス・ストロールも今季初めてQ1を突破し、14番手を確保した。第13戦イタリアGPと第15戦アゼルバイジャンGPで最後列を独占していたチームは一転、中団争いに加わった。アロンソは、「自分たちよりはるかに速いマシンと戦えているのは奇跡だ」と評した。
コースレイアウトとの相性
ストロールの言葉を借りれば、セパンはアストンマーティン・ホンダにとって「ここまでのシーズンで最も競争力溢れる週末」になっている。その理由についてストロールは、次のように説明した。
「ここはコーナーが多く、ストレートを走る時間が少ない。それが、僕らのクルマに合っているんだ。予選では、フリー走行よりもクルマの感触が良かった。その点も良かった」
セパンは、いわゆるロングコーナーが多く、1ラップを通してステアリングを切る時間が相対的に長い。ホンダ製パワーユニット(PU)の性能不足を踏まえれば、コーナリング性能が問われる条件がAMR26を後押ししたという説明に違和感はない。
ただし、セパンは予選・決勝ともに、エネルギーマネジメントの感度では今季の平均的な水準にあり、アルバート・パーク・サーキットやレッドブル・リンクに近い位置付けとされている。
最適化でPU性能引き出したホンダ
ホンダは初日を終えた後、栃木県さくら市のHRC-Sakuraと連携し、セッティングの最適化を進めた。フリー走行3回目(FP3)でも、特に改良されたターボチャージャーに関して、エネルギーマネジメントとドライバビリティの改善に取り組んだ。
ホンダ・レーシング(HRC)の折原伸太郎トラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアは、今回の予選結果を「ホンダにとって正しい方向への一歩」と踏み込んで評価。「高温多湿のコンディションにもかかわらず、我々のパッケージは期待どおりに機能しています」と説明した。
追加開発・アップグレード機会制度(ADUO)を使った2度のアップグレードが施されたホンダのPUは、決して大幅な飛躍を果たしたようには見えないものの、少なくともセパンではシャシーの足を引っ張っているといった状況には見えない。
アロンソとは異なり、ストロールが目立ったパフォーマンスを見せたのは予選に入ってからだった。3回のフリー走行ではアロンソに大きく後れを取っていた。
「Q1の2回目のラップで噛み合った。最初のラップは全然ダメで、感触もあまり良くなかった。でも2回目でまとまった。バランスとリズムだね」とストロールは振り返る。
「Q2では幾つかミスがあったから、もっと上手くやれたはずだけど、全体としては悪くなかった」
クラックが指摘した低グリップ
コースとの相性に加え、PU側の調整やコースに対するドライバーの適応も進んだ。だが、チーム全体が中団争いに加わった理由を探るうえでは、路面条件にも目を向ける必要がありそうだ。チーフ・トラックサイド・オフィサーを務めるマイク・クラックは、次のように語った。
「セパンに来てから良い週末を過ごしている。低グリップのコンディションによって勢力図が少し変わったようで、昨日のプラクティス開始時点から、我々は普段よりも高い競争力を発揮できている」
この指摘を踏まえると、ハンガリーGPで投入されたBスペックのAMR26に対するアロンソの評価は興味深い。アロンソは当時、アップグレードによってメカニカルグリップが向上したと述べていた。
グリップの乏しいセパンで、改良後のシャシーはどの程度のアドバンテージをもたらしたのか。クラックは両者を直接結び付けてはいないが、路面条件によって相対的な競争力が高まったという説明は、今回の前進を考える手掛かりになる。
決勝についてクラックは、高温に加え、午後遅くににわか雨が降る可能性にも言及し、「厳しい挑戦になる」と気を引き締めた。
「集中力を保ち、やるべきことを確実に実行し、訪れるあらゆる機会を最大限に生かさなければならない」
2026年F1バーレーンGP予選では、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が今季初のポールポジションを獲得。2番手はルイス・ハミルトン(フェラーリ)、3番手はアイザック・ハジャー(レッドブル)という結果となった。
決勝レースは日本時間10月4日(日)16時にフォーメーションラップが開始され、1周5543mのマレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットを56周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はフジテレビNEXTで生配信・生中継される。