FIA、F1コストキャップ審査で”異例の遅延”─アストン手続き違反でABA締結か。複数チーム調査の可能性も

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フェルナンド・アロンソとランス・ストロールを擁するアストンマーチンF1チームが、2024年シーズンのコストキャップ審査において軽微な手続き上の違反を認め、国際自動車連盟(FIA)との間で「合意違反契約(ABA)」を締結した可能性が浮上した。

複数の報道によると、問題は財務報告書類の一部に必要な署名が欠落していたことに起因する。英専門メディア『The Race』はこれを「チームの管理範囲外の事情によるもの」と伝えている。

アストンはこの不備を速やかにFIAへ報告。正しい署名を取得した後に再提出したが、提出期限(2025年3月31日)時点では正式な形式を満たしていなかったため、「手続き上の違反」として処理されたという。

ただし、支出総額は上限を下回っており、コストキャップ超過は発生していないとされている。事情を考慮したFIAは、アストンとの間でABAを締結。これにより罰金を含む追加制裁なしで合意に至ったと伝えられている。

過去最長の遅延─複数チーム調査の可能性

今回のアストンの手続き違反が影響した可能性もあるが、通常9月上旬に発表される「適合証明書」の発行は、10月下旬に差し掛かっても完了しておらず、パドックでは、「複数チームに対する調査が続いている」との憶測が広がっている。

FIAはF1第20戦メキシコGPを週末に控えた10月24日に声明を発表し、審査プロセスは最終段階にあり「近日中に結果を公表する」と明言した。ただし、アストンとのABA締結の件を含め、個別チームに関するコメントは避けた。

F1では2021年シーズンよりコストキャップ制度が導入された。各チームは3月31日の期限までに前年度の支出書類を提出し、FIAのコストキャップ管理部門による審査を受ける。

全チームが規則を遵守していた年は、サマーブレイク明け直後の9月上旬に適合証明書が発行されてきた。過去の発表時期は以下の通りだ。

  • 2023年(2022年度審査):9月5日
  • 2024年(2023年度審査):9月11日
  • 2022年(2021年度審査):10月10日

唯一発表が大幅に遅れた2022年(2021年度審査)は、レッドブルとアストンの違反が発覚した年だった。FIAは追加調査に時間を要し、発表を10月10日まで延期。8チームに適合証明書を発行した一方、2チームには違反判定を下した。

今年は既にその日付から2週間以上が経過しており、例年比で最大7週間の遅延が発生している。これは制度導入以来、過去最長の遅延となる。

2024年シーズンのコストキャップ基準額は1億3500万ドル(約206億円)だが、インフレ補正と年間レース開催数を踏まえ、実質的な上限は約1億6500万ドル(約252億円)に設定されている。

違反判定から処分まで―2つの道筋

違反が認定された場合、FIAには2つの対応方法がある。

1つは「合意違反契約(ABA)」による解決で、手続き違反や軽微な超過支出(上限額の5%未満の超過)の場合にFIAが制裁措置を提案し、チームが受け入れれば合意成立となる。チームは違反を認め、制裁を履行し、異議申し立て権を放棄する必要がある。

もう1つは「コストキャップ裁定パネル」による審理で、チームがABAを拒否した場合や違反がより重大な場合(上限額の5%以上の超過)に適用される。FIA総会で選出された6〜12名の裁定員が非公開で審理を行う。

違反の種類と罰則

罰則は違反の種類によって異なる。期限後の提出など、手続き上の違反は罰金のみとなるが、書類を提出しないケースにはコンストラクターズ選手権ポイントの減点が科される可能性がある。

軽微な超過支出違反(上限額の5%未満の超過)には、罰金や戒告、選手権ポイント減点、レース出場停止、空力テスト制限、将来のコストキャップ削減などが適用される可能性がある。

重大な超過支出違反(上限額の5%以上の超過)には、コンストラクターズ選手権ポイント減点に加え、罰金や厳しい競技的ペナルティが科される。最悪の場合、チャンピオンシップからの除外も規定されている。

2022年の違反事例とペナルティ

レッドブルは2021年度の会計報告において、複数の計上漏れが指摘され、上限額を186万4000ポンド(約3億1922万円)超過。超過額5%未満の「軽微予算違反」と認定され、700万ドル(約10億5000万円)の罰金と風洞実験時間10%削減の制裁を受けた。後者は、翌年以降のマシン開発に大きな影響を与えた。

アストンは手続き上の違反で45万ドル(約6800万円)の罰金を科された。新ファクトリーの建設費や契約金、在庫品、ケータリング費用などを誤って除外または調整していた。

また、ウィリアムズは期限までに年次報告書を提出できず、ABAを締結して2万5000ドル(約380万円)の罰金を支払った。

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