
角田裕毅、「最悪の場所」でのリスクテイク―”チームの判断ミス”を自力で覆す逆襲の大逆転7位入賞
チームの判断ミスによりスプリント予選で18番手に沈んだ角田裕毅(レッドブル)。その悔しさを晴らすかのように、翌日の2025年F1第19戦アメリカGPスプリントでは鮮烈な走りを見せた。
オープニングラップのターン1で発生した多重クラッシュを冷静に読み切り、混乱の中を切り抜けて一気に7番手まで浮上。以降は安定したペースを保ち、前日の失意から一転、7位でフィニッシュして貴重なスプリントポイント2点を獲得した。
ターン1の大混乱—ピアストリ、ノリス、アロンソがリタイヤ
スタート直後、サーキット・オブ・ジ・アメリカズのターン1で悲劇が起きた。ランキング首位のオスカー・ピアストリ、同2位のランド・ノリス、そしてフェルナンド・アロンソが巻き込まれる多重クラッシュが発生。タイトル争いの主役達が、わずか数秒でレースを終えることとなった。
大量のデブリがコース上に散乱し、集団前方は大混乱に見舞われた。だが、18番グリッドからスタートした角田にとっては起死回生のチャンスとなった。
「最悪の場所でリスクを取った」—イン側からの大胆なアタック
角田はイン側からターン1にアプローチした。路面はダーティで、行き場を失いスタックする可能性が高いラインだが、角田の判断は正しかった。これにより一気に7番手までポジションを上げた。
「ターン1のブレーキングゾーンで、イン側から前の複数台をアウトブレーキングしたのが鍵でした。リスクを取るには最悪の場所でしたが、コーナー中盤から脱出にかけて前が開けて、スペースができたんです」と角田は振り返る。
大胆な判断だったが、代償もあった。レーシング・ブルズのリアに軽く接触し、さらに他車のデブリを引きずりながらの走行を強いられたのだ。
”混合ウイング”での半周
「実は半周くらいの間、ニコ(ヒュルケンベルグ)のフロントウイングが引っかかった状態で走行していたんです」と角田は説明する。
「レッドブルとザウバーの混合ウイングみたいな感じで。実際、パフォーマンスの助けにはなりませんでしたけどね」
その後は冷静にタイヤをマネジメントし、後続のプレッシャーを受けながらもポジションを守り抜いた。わずか19周のスプリントレースでは、序盤の位置取りがすべてを決める。角田はその局面で完璧な判断を下した。
「いつもよりリスクを取った」—前日の悔しさをバネに
前日のスプリント予選では、チームの判断ミスで最終アタックに入れず、18番手に沈んだ角田。「タイミングのマネジメントは、あまりに酷いものでした」と珍しく強い言葉でチームを批判した。
その悔しさが、スプリントレースでのリスクテイクにつながった。
「いつもよりリスクを取りました。ポイントを獲得できたのは嬉しいですし、全体的にロングランのパフォーマンスもかなり良かったと思います」
ただし課題はまだ残る。週末を通して角田はソフトタイヤで苦戦しており、本予選で再び失望を味わう可能性もある。ただし、それは角田自身も重々、理解している。
「兎に角、予選をクリーンにまとめる必要があります」と角田は表情を引き締めた。
スプリント予選でのチームの過失を、冷静な判断と攻めの走りで以てスプリントレースで取り返した角田。レッドブルがドライバーに求める資質の一つは、まさにこの“逆境で結果を残す強さ”だろう。
アメリカGPはこのあと、本予選、そして決勝レースへと舞台を移す。角田の戦いは、まだ終わらない。