レッドブル・レーシングのローラン・メキーズ代表はF1イタリアGP初日、「シーズン中に変更する計画はない」と語り、角田裕毅を少なくとも今季末までは起用する方針を改めて強調した。一方で、2026年に向けたドライバーラインナップについては「必ずしも最終戦まで待つ必要はない」と述べ、早期決定の可能性を認めた。

高まる昇格論、ハジャーへの評価

前戦オランダGPでキャリア初表彰台を獲得したアイザック・ハジャー（レーシング・ブルズ）の昇格論が勢いを増している。ハジャーがレッドブルに昇格した場合、後任にはアーヴィッド・リンブラッドが収まるとの見方が有力だ。

メキーズは「アイザックの成長を見られるのは本当に嬉しい。前戦での彼の走りは、今シーズンどれだけ進歩したかを示す素晴らしい証明になった」と称賛の言葉を送った。

一方で「すべてのカードは我々の手にある。数週間、あるいは数カ月かけて決めることができる。急ぐ理由はない」とも述べ、ハジャーの昇格を拙速に決定する考えはないことを明確にした。

角田への評価、改善への期待

また角田については、「直近3戦でユーキは良いステップを踏んでいる。ザントフォールトでは7戦ぶりに入賞し、ブダペストではマックス（フェルスタッペン）に肉薄した。スパではチーム加入後ベストの予選を記録した。上昇傾向にある」と評価した。

ただし、現状で十分とは考えておらず、「我々の誰もがより多くを望んでいる」と述べ、更なる向上の必要性を認めた。

去就を巡る角田のシナリオ

もし角田が2026年に向けてシートを失う場合、キャデラックはすでに来季のラインナップを固めているため、来季もF1でレースを戦うための現実的な選択肢は、事実上アルピーヌのみとなる。

フランコ・コラピントは現行グリッドで唯一、ポイントが獲得できておらず、アルピーヌのエグゼクティブ・アドバイザーを務めるフラビオ・ブリアトーレは「期待外れ」であると認めている。

ただしブリアトーレは「正直、分からない」とし、コラピントの来季継続起用の可能性を除外していない。だがこれは同時に、後任探しに苦慮していることの表れでもあり、アルピーヌが角田にとって有力な受け皿になる可能性は十二分にある。

2026年に向けた決断の行方

拙速な判断を避ける意向を示しつつも、メキーズは「必ずしも最終戦まで決定を待つ必要はない」と述べた。その背景には、シートを失ったドライバーが移籍市場でのチャンスを逃さないようにとの配慮がある。

「我々の決定がドライバー達に影響を与える可能性を誠実に受け止めている」とメキーズは語り、早期に結論を出す可能性を示唆した。

F1ドライバーにとって契約時期はキャリアを大きく左右し得る要素であり、チームが早めに判断を下すことは誠意の表れとも言える。この発言の矛先には、角田だけでなくリアム・ローソンも含まれている可能性がある。

角田の今季の苦戦は、シーズン途中での移籍とRB21というピーキーなマシン特性による部分が大きい。実際、フェルナンド・アロンソ（アストンマーチン）が指摘したように、レーシング・ブルズから参戦した開幕2戦での角田はトップ6を争っていた。

それだけに、リンブラッドの育成という観点から、確立されたベンチマークとして角田をレーシング・ブルズに戻す可能性も排除できない。ただしその場合、シートを失うのはローソンという構図になる。

いずれにせよ、2026年に向けたドライバー市場は、角田の去就次第で大きく揺れ動くことになりそうだ。

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