
角田裕毅に悔しさ、マックスに無念―ホーナーが語るレッドブル勢の“取りこぼし”
2025年F1第11戦オーストリアGPの公式予選Q1。週末を通して手応えを掴み、レッドブル昇格後、もっとも高い自信をもって臨んだ角田裕毅(レッドブル・レーシング)だったが、その矢先、突如としてマシンに異変が訪れた。
「Q1の1回目のアタックは良く、トップ10に入っていたし、十分に競争力があるように見えた」
そう語るのは、レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナー。だが、最終アタックで突如としてマシンの「バランスが完全に崩壊」。角田は困惑のなか、今季3度目となるQ1敗退の憂き目を見た。
Q2進出のボーダーラインまでは、わずか0.091秒。チームメイトのマックス・フェルスタッペンとの差も0.263秒と、今週末を通じて最も接近していた。だが、10番手から18番手までが0.191秒差という大混戦のなかで、その僅差が明暗を分ける結果となった。
ホーナーも「Q2進出を決めるには本当に僅差の戦いで、惜しくも届かなかった」と悔しさを滲ませる。
ドライブ不能―フェルスタッペンも苦戦
だが、予選に入って突如としたクルマの異変に見舞われたのは角田だけではなかった。Q1終了後、フェルスタッペンは「これじゃ全くドライブできない」「もう何を言えばいいのか分からない」と無線で苛立ちを見せた。
それでも王者はQ3まで駒を進めたが、ピエール・ガスリー(アルピーヌ)のスピンによる黄旗が振られ、渾身の最終アタックはキャンセルに。最終的に今季ワーストタイの7番手に沈んだ。
「マックスにとっては厳しく、そして不運な予選だった。ガスリーがスピンしたため、マックスは黄旗に応じてラップを止めた。その判断は適切だった。でも本当に残念だ。あのラップは1分4秒4あたりで、3番手か4番手には届いていたはずだった」
ホーナーの言葉には、手中からこぼれ落ちたポジションへの無念がにじむ。
舞台は波乱の母レッドブル・リンク
だが、ここはレッドブル・リンク。諦めるにはまだ早い。オーバーテイクが容易なコース特性に加え、過去5大会でのセーフティーカー導入率は60%という高確率。混戦模様のレース展開が予想される中、他車の不運を味方につければ大幅なポジションアップも決して夢ではない。
ホーナーは、「このサーキットでは何が起きてもおかしくない。スタート直後のターン1とターン3では、無事に生き残る必要がある混乱がこれまでに何度も起きてきたし、過去にはセーフティーカーがレースを左右したこともある」と角田を鼓舞。「今日は悔しい結果になったが、明日巻き返すチャンスは十分にある」と強調した。
18番手という厳しいポジションからスタートする角田。果たしてチームのホームレースで巻き返しを果たすことはできるのか──その走りに注目が集まる。
2025年F1オーストリアGP予選では、ランド・ノリス(マクラーレン)がポールポジションを獲得。2番手はシャルル・ルクレール(フェラーリ)、3番手はオスカー・ピアストリ(マクラーレン)という結果となった。
決勝レースは日本時間6月29日(日)22時にフォーメーションラップが開始され、1周4318mのレッドブル・リンクを71周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。