
角田裕毅、”完全崩壊”でQ1敗退―ノリス圧倒ポールも決戦は不完全燃焼に / F1オーストリアGP 2025《予選》結果と詳報
2025年FIA F1世界選手権第11戦オーストリアGPの公式予選が現地時間6月28日、レッドブル・リンクで行われ、ランド・ノリス(マクラーレン)が今季3度目のポールポジションを獲得。2番手以下に驚異的な差をつける圧巻の走りを見せた。一方、角田裕毅(レッドブル)は18番手でQ1敗退に終わった。
FIA-F2選手権予選における長時間の赤旗中断を受け、予選は5分遅れで開始された。気温は28℃、路面温度は50℃近くにまで上昇し、週末最も暑いコンディションの中で、日曜のレースに向けたグリッド争いが行われた。
コース内の一部の芝生が発火したため、Q2では残り5分42秒で赤旗が振られた。この現象は今年の日本GPでも発生しており、フロア下のスキッドブロックと路面との接触により生じた火花が引火、あるいは高温になったエキゾーストなど車体の一部が乾いた芝生に触れることで出火する可能性が指摘されている。
🚩 RED FLAG 🚩
A small patch of grass is on fire on the start/finish straight #F1 #AustrianGP pic.twitter.com/i9lNkL4GdS
— Formula 1 (@F1) June 28, 2025
ノリス圧巻も、不完全燃焼のポール争いに
Q3最初のアタックで暫定トップに立ったノリスは、最終ラップの全セクターで全体ベストを叩き出し、2番手につけたシャルル・ルクレール(フェラーリ)に0.521秒という大差をつける1分3秒971を記録した。ただし、ポール争いは不完全燃焼に終わった。
最終コーナーでピエール・ガスリー(アルピーヌ)がリアタイヤをグラベルに落とし、黄旗が提示されたことで、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)はアタックを断念せざるを得ず、タイムを伸ばせないまま0.958秒遅れの7番手に沈んだ。
アウトラップでガスリーの背後を走行していたオスカー・ピアストリ(マクラーレン)に至っては、最終アタックにすら入れず、ルクレールに0.062秒差の3番手に甘んじた。
ルクレールのチームメイト、ルイス・ハミルトンは4番手に続き、フェラーリSF-25に投入されたアップグレードが、少なからず成果を生んでいることを感じさせた。
この日、レッドブル系チームで最上位につけたのはフェルスタッペンではなく、リアム・ローソン(レーシング・ブルズ)。今季ベストの予選6番手を記録した。
暑さに屈したメルセデス、ボルトレートが台頭
暑さに弱いメルセデスは案の定、苦戦を強いられ、ジョージ・ラッセル(メルセデス)こそ5番手をマークしたが、前戦カナダで初の表彰台に上がったアンドレア・キミ・アントネッリは9番手にとどまった。
ガブリエル・ボルトレート(ザウバー)は、チームメイトのニコ・ヒュルケンベルグが最下位に終わる中、キャリア初のQ3進出を果たして8番グリッドを持ち帰った。
角田「バランス完全崩壊」でQ1敗退
Courtesy Of Red Bull Content Pool
予選中のピットレーンでマックス・フェルスタッペン(レッドブル)の前を走行する角田裕毅(レッドブル)、2025年6月28日(土) F1オーストリアGP(レッドブル・リンク)
FP2以降、トップ10圏内をキープしていた角田だが、セクター1で自己ベストを更新できず、18番手でQ1敗退を喫した。Q2進出ラインの15番手とはわずか0.091秒差だった。無線では「フロントのグリップが全くなかった」と訴え、セッション後のインタビューでは「バランスが完全に崩れていました」と振り返った。
6番手で通過したフェルスタッペンとの差は0.263秒と、今週末を通して最も接近したものの、10番手から18番手まではわずか0.191秒差という大混戦。ごく僅かなタイム差が結果を大きく左右した格好だ。
興味深いことに、フェルスタッペンもQ1を終えて「クルマは完全に運転不可能だ」「さっきよりさらにひどくなってる」「もう何を言えばいいのか分からない」と苛立ちをあらわにしていた。
レッドブル・リンクでは常に、フロントタイヤの熱入れが大きな課題となる。それは単に1周が短いから、というだけではない。
高い標高が影響し、ブレーキの冷却効率が低下することから、各車はダクトの開口部を広げる。その結果、ブレーキの熱をフロントタイヤのウォームアップに活用することが難しく、熱の入りが不十分になる。一方で、低速コーナーからの加速が多いため、リアタイヤはオーバーヒート気味となり、前後タイヤのマネジメントが非常に難しい。
アロンソ惜しくもQ3届かず、サインツは車体損傷か
フェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)はQ3進出に0.076秒届かず、11番手に終わった。アレックス・アルボン(ウィリアムズ)は12番手。アイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)は最後のフライング・ラップを途中で中止。13番手でセッションを終えた。
フランコ・コラピント(アルピーヌ)は14番手。オリバー・ベアマン(ハース)が15番手に続いた。
カルロス・サインツ(ウィリアムズ)は3戦連続のQ1敗退に終わり、19番手に沈んだ。「クルマにダメージがあるのは間違いない」「ブレーキングで引っ張られるし、高速域ではまったく荷重がかからない。“運転不可能”だ。本当にどうにもならなかった」と無線で訴えた。
プラクティスで上位に顔を出していたランス・ストロール(アストンマーチン)は16番手でQ1敗退。エステバン・オコン(ハース)は17番手に終わった。
決勝レースは日本時間6月29日(日)22時にフォーメーションラップが開始され、1周4318mのレッドブル・リンクを71周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。
2025年F1第11戦 オーストリアGP 予選リザルト
Pos | No | Driver | Team | Q1 | Q2 | Q3 | Laps |
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1 | 4 | ノリス | マクラーレン | 1:04.672 | 1:04.410 | 1:03.971 | 18 |
2 | 16 | ルクレール | フェラーリ | 1:05.197 | 1:04.734 | 1:04.492 | 21 |
3 | 81 | ピアストリ | マクラーレン | 1:04.966 | 1:04.556 | 1:04.554 | 19 |
4 | 44 | ハミルトン | フェラーリ | 1:05.115 | 1:04.896 | 1:04.582 | 21 |
5 | 63 | ラッセル | メルセデス | 1:05.189 | 1:04.860 | 1:04.763 | 18 |
6 | 30 | ローソン | レーシングブルズ | 1:05.017 | 1:05.041 | 1:04.926 | 17 |
7 | 1 | フェルスタッペン | レッドブル | 1:05.106 | 1:04.836 | 1:04.929 | 18 |
8 | 5 | ボルトレート | ザウバー | 1:05.123 | 1:04.846 | 1:05.132 | 21 |
9 | 12 | キミ・アントネッリ | メルセデス | 1:05.178 | 1:05.052 | 1:05.276 | 17 |
10 | 10 | ガスリー | アルピーヌ | 1:05.054 | 1:04.846 | 1:05.649 | 21 |
11 | 14 | アロンソ | アストンマーチン | 1:05.197 | 1:05.128 | 14 | |
12 | 23 | アルボン | ウィリアムズ | 1:05.143 | 1:05.205 | 18 | |
13 | 6 | ハジャー | レーシングブルズ | 1:05.063 | 1:05.226 | 12 | |
14 | 43 | コラピント | アルピーヌ | 1:05.278 | 1:05.288 | 15 | |
15 | 87 | ベアマン | ハース | 1:05.218 | 1:05.312 | 15 | |
16 | 18 | ストロール | アストンマーチン | 1:05.329 | 9 | ||
17 | 31 | オコン | ハース | 1:05.364 | 9 | ||
18 | 22 | 角田裕毅 | レッドブル | 1:05.369 | 6 | ||
19 | 55 | サインツ | ウィリアムズ | 1:05.582 | 12 | ||
20 | 27 | ヒュルケンベルグ | ザウバー | 1:05.606 | 9 |
コンディション
天気 | 晴れ |
---|---|
気温 | 28℃ |
路面温度 | 48℃ |
セッション概要
グランプリ名 | F1オーストリアGP |
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セッション種別 | 予選 |
セッション開始日時 |
サーキット
名称 | レッドブル・リンク |
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設立 | 1969年 |
全長 | 4318m |
コーナー数 | 10 |
周回方向 | 時計回り |