角田裕毅の前に立ち塞がるはメルセデス、それでもRBが今季初ポイントをF1サウジの目標に掲げる2つの理由
角田裕毅が9番手、ダニエル・リカルドが14番手に終わった8日(金)のF1第2戦サウジアラビアGP予選を経て、RBの車両パフォーマンス部門を率いるギヨーム・デゾトゥーが予選・決勝に向けた準備と戦略に関する貴重な洞察を提供した。
角田裕毅が11番手、リカルドが19番手に留まったイベント初日、RBの面々は慌ただしい夜を過ごした。デゾトゥーは、競争力の改善に向けてテレメトリデータを分析し、シミュレーターを使った様々なセットアップをテストしたと明かした。
中団グループがかなり拮抗していた事からチームは、些細な違いが結果を大きく左右する事を認識していた。
「良いバランスを見つけられるか、あるいはクリーンラップを得られるかどうかによって、予選結果が大きく異なる可能性があった」とデゾトゥーは語る。
「FP3では、前日以降に施したセットアップ変更の効果を確認するために、2台ともミディアムタイヤを履いてセッションをスタートしたのだが、路面状況が前日とは少し異なっていたため、終盤に向けてはクルマの挙動を見極めるためにソフトタイヤでの走行に焦点を当てた」
「予選はユーキにとって本当に良い結果になった。Q3に進出してストロールを抑え、9番手を確保した。セッション全体を通じてクルマは安定していた。シングルラップに焦点を当て、トラフィックを上手くマネジメントし、路面の進化に合わせてバランスを適応させる計画が非常に上手く機能した」
「一方でダニエルは、余裕を持ってQ2に進出したものの、残念ながらQ3には進めなかった。ラップをまとめるのに苦労し、特にターン4のような幾つかのコーナーで手を焼いていたようだ。これは今後に向けて理解を深めなければならない点だ」
土曜のレースでポイントを獲得するためには、セカンドロウ獲得のポテンシャルがあるアストンマーチンAMR24をドライブする真後ろのランス・ストロールを抑えつつ、前に並ぶメルセデス勢の攻略を目指す必要がある。
決して簡単な話ではないが、2つの理由からデゾトゥーはサウジアラビアでの今季初入賞の可能性を信じているようだ。
一つにはジェッダ市街地コースが一発逆転の可能性が高いサーキットであるためだ。
サウジアラビアGPはこれまで、例外なくセーフティーカー(SC)が導入される展開となってきた。初年度は5台、2年目は7台、そして昨年は2台がチェッカーを受ける事なくレースを終えた。デゾトゥーは「ジェッダが波乱のレースになる可能性がある事を我々は知っている」と語った。
二つ目はライバルのレースペースだ。デゾトゥーはメルセデスの速さを認めつつも、それは自分達と比較して「僅か」であるとしており、圧倒的な差があるとは考えておらず、今季初のポイント獲得をターゲットに「レースに向けて最も起こり得るシナリオを見出し、戦略シミュレーションの策定に取り組んでいく」と付け加えた。
メルセデスは初日、クルマのセットアップを2台で大きく分けたが、いずれも不発に終わり、ドライバー達はクルマに対する自信を得る事ができなかった。特にハミルトンはリアのステビリティ不足に不満を抱いていた。
予選を見てもクルマが決まり切っている様子はなく、ハミルトンはバウンシングが原因で限界まで攻めて走る事ができなかったと説明した。
セットアップ作業に時間を割いた事もあって十分なロングランを行っていないためW15のレースペースは不透明だが、マクラーレンが角田裕毅に味方するかもしれない。
6番グリッドに着くランド・ノリスはMCL38のトップスピードを理由に、前方に並ぶフェルナンド・アロンソを交わす事は難しいかもしれないと認めている。この場合、メルセデスからポジションを守り抜くレース展開が期待される。
メルセデスがマクラーレンに前を阻まれバトルを繰り広げる事になれば、角田裕毅にとってはチャンスとなり得る。
いずれにせよ1ストップレースとなる可能性が高いため、戦略がリザルトに与える影響は前戦バーレーンGPより遥かに小さくなる事が予想される。