契約解除も辞さず?フェルスタッペン、マルコ騒動を受け”絶対忠誠”の支持表明…レッドブルに警告
恩師ヘルムート・マルコがサウジアラビアGPを以てチームを離れる可能性が浮上した事を受けマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、契約解除も辞さない意志がある事を強く仄めかした。
重鎮マルコを襲った危機
クリスチャン・ホーナー代表を巡る疑惑から始まったレッドブル・レーシングの混乱は新たな局面に突入した。同チームのモータースポーツ・アドバイザーは何らかの機密情報をリークした疑いでレッドブルGmbHから調査を受けており、停職の危機に晒されている。最悪の場合は懲戒解雇という結末も考えられる。
マルコはF1第2戦サウジアラビアGPの予選に向けて、オーストリアの「ORF」から停職の可能性はあるのかと質問されると、「望むか望まないかにかかわらず、理論的にはその可能性はある」と答えた。
また、独「Sky Sports」に対しては、自身の将来について9日(土)にレッドブルGmbHの企業プロジェクト・新規投資部門CEOを務めるオリバー・ミンツラフと話し合う予定だと明かした。
更にマルコは「私が仕事を続けたいと思うためには、全てが整っていなければならない」とも述べ、現状は職務続行を希望する状況にないと仄めかし、処分を受ける前に自ら辞職する可能性すら示唆した。
レッドブルGmbHを雇用主としてレッドブル・レーシングの役員を務めるマルコは、レッドブルの共同創業者、故ディートリッヒ・マテシッツの片腕として数十年に渡ってレッドブルのモータースポーツ活動に携わってきた人物で、フェルスタッペンにF1デビューの機会を与えたキーマンとしても知られる。
ただ、マテシッツは2022年末にこの世を去った。絶対的庇護者を失ったマルコは、ミンツラフを含むレッドブルGmbHの新たな経営陣を上司として1年強を過ごしてきたが、その関係は決して良好とは見なされていない。
絶対に留まるべき、とフェルスタッペン
マルコがチームを離れる事になれば、その損失はホーナーがチームを去る以上に深刻なものになる恐れがある。80歳のオーストリア人実業家のみならず、チームの絶対的エース、3度のF1ワールドチャンピオンをも失う可能性があるのだ。
ジェッダ市街地コースでポールを獲得したフェルスタッペンは予選後の会見の中で、今週末がマルコにとっての最終戦になる可能性がある事について問われると、「忠誠心」や「尊敬」という言葉を繰り返し、マルコが意に反してチームを去ることになれば、レッドブルでの自身の将来を再考すると強く示唆した。
「みんな知っての通り、僕はヘルムートのことを尊敬しているし、一緒に途方もない事を成し遂げてきた。もちろん、彼に対する忠誠心は本当に大きい」とフェルスタッペンは語る。
「そして僕はチーム内の誰に対しても、上層部の誰に対しても、将来を含めて僕の意思決定において彼が重要な役割を担っているという事を一貫して伝えてきた」
「もちろん、彼がチームに留まることは他の誰にとってもすごく重要なことだ。チームというのは一人ひとりの努力の総和だし、重要人物がまとまっている事が大切だからね」
「もし重要な柱の一つがなくなってしまったら、それは僕の立場にとっても良くないことだと思う。それについてはチームにも伝えてあるけど」
「だから間違いなく僕にとって、ヘルムートは絶対に留まるべきなんだ。絶対に。彼はディートリッヒと一緒にこのチームを作り上げてきた人だ。そしてチーム内の誰に対しても常に忠実だった」
「もちろん、彼の功績に対して敬意を払うこともすごく重要だと思う。それは忠誠心や誠実さにも繋がる。だから彼がチームの一員であり続けることは、僕にとっても間違いなく重要なことなんだ」
マルコに対する力強い支持表明は、先週末のバーレーンGPでホーナーのリーダーシップに全幅の信頼を寄せているか?との質問に対するフェルスタッペンのコメントとは明らかに温度差があった。
マルコは肯定も否定もしていないが、フェルスタッペンがレッドブルと結んでいる2028年末までの現行契約には、マルコがチームを去った場合に有効となる解除条項が存在すると考えられている。
バーレーンでは父ヨス・フェルスタッペンが、代表の座に留まればチームは崩壊すると警告し、事実上のホーナー退任を要求した。これによりルイス・ハミルトンの後任としてフェルスタッペンが2025年にメルセデスに移籍するのではとの憶測が過熱した。
フェルスタッペンはサウジアラビアGPの開幕に先立ち、英「Sky Sports」とのインタビューの中で、2024年末を以てレッドブルを離れる可能性を問われると「本当にクレイジーなことが起こらない限り、そうなるとは思わない」と答えた。
そして、マルコを巡る疑惑が表面化した後に、マルコの退任は「クレイジー」に該当するのかと問われると「もしそうなれば、それはかなり控えめな表現だ。どうなるか様子を見守ろう」と返した。