更なる疑惑…ベン・スレイエム会長、F1ラスベガスGPの開催阻止を画策か。FIAが調査
国際自動車連盟(FIA)のモハメド・ベン・スレイエム会長に新たな疑惑が浮上した。昨年初開催を迎えたラスベガスGPのサーキットを巡り、その認証を妨害しようとする行為があったと報じられた。
ベン・スレイエムは2023年のサウジアラビアGPのレースリザルトに介入を試みたとの疑惑が報じられたばかりだが、今回、同じ内部告発者から新たな告発があり、開催の阻止に向けて認証基準を満たさない箇所を見つけるようにとの「FIA会長の命令」が下された疑いがある事が分かった。
英「BBC Sport」によると、FIAの最高コンプライアンス責任者を務めるパオロ・バザーリがFIA倫理委員会に提出した報告書には、「レースの開催までにFIAがサーキットを認証できないような懸念事項を見つけるよう、FIA会長の命令を受けたマネージャー」から内部告発者が「指示」を受けたと記されている。
この指示について内部告発者は、「実際にサーキットに問題が存在するかどうかに関わらず、問題を意図的に特定することを意図したもので、その最終的な目的はライセンスの差し止めにあった」と報告書の中で説明した。
ベン・スレイエムがラスベガス市街地コースに認証を与える事を望まなかった理由は明らかになっていないが、これが事実である場合、公平かつ透明性のある運営が求められるFIAのプロセスに対する信頼性に疑問が投げかけられる可能性がある。
ラスベガスGPはF1の商業権利者が史上初めて主催したグランプリレースとなった。F1の商業権を持つリバティ・メディアとFIAは、ベン・スレイエムが会長に選出された2021年12月以降、幾度となく緊張関係にあった。F1は契約に基づき、統括の役割を担うFIAに対して年間約4,000万ドルを支払っている。
F1側はコメントを拒否しているが、FIAは「競技および安全の観点から、ラスベガスのサーキットについてはFIAのプロトコルに従って検査および認証が行われた。振り返って頂ければ分かるように、現地主催者の建設工事が続いていたため、サーキットの検査に遅れが生じた」とコメントしたうえで、「運営団体の特定のメンバー」が関与した疑いあるとする報告書に記載された「疑念を評価している」と説明した。
なお、ラスベガスGPではイベント初日のプラクティスで、排水カバーが外れるというコース設備上の問題でカルロス・サインツのフェラーリSF-23が大きなダメージを受け、急遽、セッションが中止されると共に、2回目フリー走行が延期される騒ぎとなった。