アルファタウリ含む3チームとのF1交渉を認めるデ・フリース、本命は…
先週末のF1イタリアGPで印象的なデビューを飾ったニック・デ・フリースは、ヘルムート・マルコとの会談が報じられたアルファタウリを含む3チームとの間で、2023年に向けた交渉が行われていると認めた。
メルセデスのテスト兼リザーブを務める27歳のオランダ人ドライバーは、盲腸により欠場したアレックス・アルボンの代役としてモンツァでウィリアムズFW44を駆り9位を獲得。フェルナンド・アロンソや同胞のマックス・フェルスタッペンらの称賛を浴びた。
この活躍を経て2021年のフォーミュラEチャンピオンは、モンツァでの決勝から5日後の9月16日(金)正午にオーストリアのグラーツ市街地でレッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコとの会談する様子が目撃された。
アルピーヌがピエール・ガスリーの引き抜きのために接触してきた事を受けレッドブルは、インディカーの若手ホープ、コルトン・ハータを後任に据える方向で調整を重ねてきたものの、F1スーパーライセンスの取得見通しが立たない事から断念。第2プランとしてデ・フリースにアプローチした。
オランダ国内の報道によると、オーストリアでのマルコとの会談についてテレビ番組「Humberto」に出演したデ・フリースは「事実だ」と述べ、2023年のフル参戦の選択肢がウィリアムズ、アルピーヌを含めた3チームにあると認めた。
「かなり長い間に渡って交渉してきたし、ウィリアムズは理にかなったステップだと思う。先週末はF1デビューすることもできたしね」とデ・フリースは語った。
「アルピーヌとは7月から話し合いを続けてきた。来週にはブダペスト(ハンガロリンク)でテストすることになっている。月曜日にはハンガリーに飛ぶ予定だ」
「既にメディアで報じられた通り、先週はオーストリアでマルコ博士に会い、今後について話をした」
「シートが得られるなら何だって満足だけど、今後数日から数週間は状況を注視していく事になる」
その上でデ・フリースは「やはり自分ではどうにもならない部分が大きい」と述べ、最終的に自身が自由に契約先チームを選ぶ事は難しいとの認識を示した。
恐らくウィリアムズが「どうにもならない」チームではない事を踏まえると、これは興味深い発言と言える。
アルファタウリのシート条件はガスリーが2023年にアルピーヌに移籍する事にある。ただデ・フリースはそのアルピーヌが主催する非公開テストに臨む。
ハンガロリンクでアルピーヌの首脳陣を唸らせる事になれば、アルファタウリでのデビューの道は潰える可能性がある。だが、パッとしないパフォーマンスに終わればヘルムート・マルコも考えを改めるかもしれない。
デ・フリースにとって来週のテストは一種のジレンマである可能性がある。
また、メルセデスのトト・ウォルフ代表は今年7月、デ・フリースを現行契約から解放する用意がある事を明らかにしたが、同時にそれは「彼に対して興味深いF1プロジェクトを提供できない場合」だと述べた。
開発ドライバーという立場のデ・フリースは、メルセデスのシャシーとパワーユニット(PU)に関する深い知識と経験を持ち合わせている。
メルセデスとすれば、万が一にも流出する事態は避けたいところだ。実際、デ・フリースが今年、FP1で出走したチームはウィリアムズにしろアストンマーチンにしろ、メルセデス製PUを搭載するチームだった。
デ・フリースの本命はアルピーヌかアルファタウリのいずれかである可能性が高そうだが、最終的には「理にかなった」ウィリアムズに収まる…そんな結末になるのだろうか?