殺す気か!? ニキータ・マゼピンに怒号上げたミック・シューマッハ
普段は温厚なミック・シューマッハがハースF1チームのチームメイトに激怒した。「殺す気か!? 」という表現で。アゼルバイジャンGP決勝最終ラップの時速300km超という高速走行下での一件が引き金だ。
マックス・フェルスタッペンのクラッシュによる再スタートでニキータ・マゼピンに先行を許したシューマッハは、ファイナルラップでトウを得てチームメイトの背後に付き、最終ターン20に差し掛かるところでこれを完全に捉えた。
オーバーテイクのためにコース右側に寄ったところ、マゼピンが同じく右にステアリングを切った事で、シューマッハは回避行動のために更にステアリングを切り足す必要を強いられた。あわやというシーンだった。
追い抜き様にシューマッハは右手をステアリングから離して左を向き、ロシア人ドライバーに向かってジェスチャーで猛抗議すると、13位でフィニッシュラインを駆け抜けた後、チーム無線を通して怒りを爆発させた。
「一体何なんだあれは!? マジで。アイツは俺らを殺す気なのか!?」
映像を見る限りマゼピンが危険な動きをした事は確かだが、状況はハッキリしない。マゼピンとチーム代表のギュンター・シュタイナーは核心に触れずにお茶を濁す。
レースを終えたマゼピンは「何より、メインストレートでチームメートにポジションを奪われた事に少し動揺している。僕はあの時点でバッテリーを使い果たしていて、為す術がなかった。でもそれも仕方がない事だ」と語った。
マゼピンは更に「チームにとっては良い数字」と述べリザルトについて言及した後、「ただしドライバー達にとって幾つか予期せぬ状況が発生した事で、こうした順位になった」と付け加えた。
またシュタイナーは「ストレートでちょっとした事が起きたが、全て解決済みだ。幾つか誤解があったようだがもう大丈夫だ。全ては前進あるのみだ」とはぐらかした。”誤解”したのはマゼピンなのかシューマッハなのか、それともチームのなのだろうか?
マゼピンとシューマッハのイザコザを除けば、リザルト的にはハースにとって今季最良の1日になった。
シューマッハの13位フィニッシュによってハースは、ライバルのウィリアムズを抜いてコンストラクターズ選手権9位に浮上した。
6月6日(日)にバクー市街地コースで行われた2021年F1第6戦アゼルバイジャンGPでは、6番グリッドからスタートしたセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)が2勝目を上げ優勝。2位はセバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)、3位表彰台はピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)という新鮮な顔ぶれが並んだ。
ポール・リカール・サーキットを舞台とする次戦フランスGPは、6月18日のフリー走行1で幕を開ける。