2021年6月6日のF1アゼルバイジャンGPでラップをリードするレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン
Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

F1バクーで相次いだタイヤ事故、フェルスタッペンとストロールのクラッシュの原因は摩耗ではなくデブリか

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6月6日にバクー市街地コースで行われたF1アゼルバイジャンGPでの2件のクラッシュについて、F1公式タイヤサプライヤーのピレリが初期調査の結果を公表した。現時点ではデブリによる外的損傷が疑われている。

レース中盤、5番手を走行していたランス・ストロール(アストンマーチン)がハードタイヤでの30周目にホームストレートでクラッシュ。最終盤には、ラップリーダーのマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がハードでの34周目に同じくストレートでバリアに突っ込んだ。

いずれも左リアタイヤが破損しており、大破したマシンの回収のために2回に渡ってセーフティーカーが導入される事態となった。

ピレリは拾い集めたタイヤの残骸と、今回のレースで使用された全てのタイヤについて予備調査を行い、摩耗や構造上の欠陥による可能性を除外して、何らかの破片による外的損傷によってタイヤブローへと至った可能性が高いと推測した。

ピレリのモータスポーツ部門を率いるマリオ・イゾラは「現時点で結論は差し控えたい」として、詳細は今後の分析を待つ必要があるとしながらも、コース上のデブリがクラッシュの引き金になった可能性が高いとの認識を示した。

イゾラは摩耗が事故の原因でないと考える理由を次の4つに集約した。

  • 事前に圧力低下等の警告が確認されなかった事
  • 破損したタイヤのトレッドが十分に残っていた事
  • 他車のハードタイヤがより長い距離を走れていた事
  • 左リアを含む他車のタイヤにカット痕が発見された事

イゾラは、ルイス・ハミルトンが第2スティントで履いていた左リアのインサイドショルダーにもカット痕が確認された事に触れ「この切れ目はかなり深く、おそらく6~7cmはあるだろうが、構造は切断されていなかった」と説明した。

車体に取り付けられる4輪の内、バクー市街地コースで最も大きな負荷が掛かるのが左リアタイヤではない事から、イゾラの言うように摩耗という線は薄そうだ。

なお、この日のレースでハードタイヤを最も長く走らせたのはマクラーレンのランド・ノリスで41周だった。

フェルスタッペン「時々F1が嫌になる」

イゾラはフェルスタッペンのクラッシュの原因について、2018年にバルテリ・ボッタスが同じ様にホームストレートでデブリを拾ってパンククラッシュを喫した事に触れ、ストロールが壁に突っ込んだ際に飛び散ったパーツの破片である可能性に言及した。

ピレリはこの後、破損した2本のタイヤの残骸と、レース中に使用された他のタイヤをミラノのラボに空輸し、様々な映像証拠と合わせて徹底した調査を行なった後、2週間後の次戦フランスGPの前に最終報告を行なうとしている。

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