砂嵐に見舞われたバーレーン・インターナショナル・サーキットを走行するメルセデスW12のルイス・ハミルトン、2021年3月12日F1プレシーズンテストにて
Courtesy Of Daimler AG

メルセデスF1、テスト前の未シェイクダウンを後悔…ギアボックスの問題特定進まず 2014年以来の試練

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ギアボックストラブルにより貴重な走行時間を失ったメルセデスのバルテリ・ボッタスは、バーレーンでのプレシーズンテストを前にシェイクダウンを行うべきであったかもしれないと認めた。

12日(金)のテスト初日、ボッタスはサヒールでの午前のセッションを担当したが、一発目のインスタレーションラップ中にギアシフトに問題が発生。ギアボックス交換を余儀なくされた事で3時間以上の走行時間を失った。

通常チームはテストを前に、フィルミングデーを利用してマシンの基本的な動作確認を行うべくシェイクダウンを実施する。メルセデスも例年、英国シルバーストン・サーキットで確認走行を行ってきた。だが今年に限ってどういうわけか、ぶっつけ本番でテストに臨んだ。シェイクダウンを行わなったのはメルセデスのみだった

その理由についてチーム代表兼CEOのトト・ウォルフは「シルバーストンはいつも雨が降るから、もう二度と凍てつくような雨に濡れたくはなかったんだ」と冗談を飛ばしていた。

もし仮にシェイクダウンを行っていれば事前に問題を検知できていた可能性があるわけだが、チームがシェイクダウンを行わなかった事について後悔しているかと問われたボッタスは次のように答えた。

「後で振り返ってみてそう言うのは簡単だけど、今となっては事前に終えておくべきだったかもしれない。でも近年のマシンは非常に安定的だし、一部に関してはダイナモで既にテストされている。とは言え来年に向けて見直されるだろうね」

載せ替えは午前のセッション終了直前まで時間を要する事となり、ボッタスはコースに戻ったものの、エアロレイクを付けた状態でのシステムチェックと空力テストで6周を走ったのみでヘルメットを脱いだ。

メルセデスのバルテリ・ボッタスとルイス・ハミルトン、2021年3月12日F1バーレーンテストにてCourtesy Of Daimler AG

メルセデスのバルテリ・ボッタスとルイス・ハミルトン、2021年3月12日F1バーレーンテストにて

午後はチームメイトのルイス・ハミルトンがステアリングを握ったが、シートポジション(ペダル)やマシンバランスに課題を抱え、更にはバーレーン特有の強烈な砂嵐の影響を受けて42周の走行に留まった。タイムとしても最速刻んだマックス・フェルスタッペンから2.238秒落ちと、明らかにタイヤを機能させる事ができていない。

42周という数字はこの日の最多周回数を刻んだレッドブル・ホンダの139周の3割に過ぎず、全10チームの中でダントツの最下位だ。なお昨年のメルセデスはテスト初日に173周を走り込んでいる。メルセデスにとってはフロントウイングに問題を抱えてハミルトンがクラッシュを喫した2014年以来、最悪のプレシーズンテスト初日となった。

懸念されるのは、このトラブルの原因が未だ特定されていない点にある。1日を振り返ったハミルトンは「チームは原因究明に向けて懸命に作業に取り組んでいる」と語った。

今季のテストは僅か3日間しかなく、非常に厳しい出だしを強いられた格好だが、ハミルトンもボッタスも挽回の可能性を信じて疑わない。

ボッタスは「挽回できると確信している」と述べ、ハミルトンは「このチームでの9年間の経験が力になると思いたい」との言葉を口にし、コースサイド・エンジニアリング・ディレクターを務めるアンドリュー・ショブリンは「計画からはかなり遅れてしまったが、残り2日、巻き返しのチャンスは幾らでもある」と前を向いた。