マクラーレンF1、復権に向け254億円の資本受け入れ…MSPスポーツ・キャピタルに株式売却
マクラーレン・グループはF1アブダビGP決勝当日の12月13日(日)、米国を拠点とするMSPスポーツ・キャピタル率いるコンソーシアムに対して、マクラーレン・レーシングの一部株式を1億8500万ポンド(約254億5,000万円)を売却したと正式発表した。
マクラーレン・レーシングはF1世界選手権やインディカー・シリーズに参戦するチームの運営会社であり、英国が誇る8度のF1コンストラクターズチャンピオンは、トップ争いへの復帰に向けて財務状況を更に改善する事になる。
既報通り、これはMSPの戦略的パートナーであるUBSオコナー、LLC、ナジャフィ・カンパニーズとの共同投資の一環として行われる。コンソーシアムはまず15%の株式を取得した後、2022年末までにこれを33%にまで引き上げる。取引後の評価額は5億6,000万ポンド、日本円にして約770億円を見込む。
ナジャフィ・カンパニーズは、コンシューマー、スポーツ、メディア、Eコマース、小売、テクノロジーといった各分野に大規模な投資を行っている起業家主導の民間投資会社で、UBSオコナーはスイスの投資銀行UBSのヘッジファンド部門だ。2020年11月1日現在のUBSオコナーの運用資産額は71億ドル(約7,385億円)に達する。
なお、高級スーパーカーメーカーとしてのマクラーレン・オートモーティブは、マクラーレン・グループによる100%出資のままであり、今回の取引には含まれていない。
MSPスポーツキャピタルはスポーツ関連の投資グループであり、プリンシパルを務めるジャーム・ナジャフィは、メジャーリーグ・ベースボール(MLB)やナショナル・バスケットボール・アソシエーション(NBA)やESPNのオーナー、投資家、そして運営者として知られるスポーツ業界における経験豊富な著名人だ。
マクラーレン・レーシングのザク・ブラウン最高経営責任者(CEO)は本取引について、MSPスポーツ・キャピタルは業界を熟知するスポーツ投資家であり、また、株主であると同時にパートナーでもあるとして、「F1及びインディカーの両シリーズにおける勝利とチャンピオン争いに向けた一連の計画を強化するもの」と説明した。
本取引に関連して、マクラーレン・レーシングの役員にも変更が生じる。
ザク・ブラウンは引き続きCEOの職に留まり、今年3月に新たにグループの執行役会長としてマクラーレンに加わったポール・ウォルシュは会長に就任。ウォルシュの加入によって非業務執行役員を務めていた元会長のシャイク・モハメド・ビン・エッサ・アル・ハリファはジャーム・ナジャフィと共に副会長の職に就く。
投資家グループ側は、MSPスポーツ・キャピタルのジェフ・ムーラッドとUBSオコナーのロドリゴ・トレレス・ザバラを取締役会に送り込む。ジェフ・ムーラッドは、2018年にフォース・インディアの買収を検討していた事で知られる。