漆黒のメルセデス、高温下でのレースでは不利? バルテリ・ボッタス「クソ暑い!」
影響の程度がどうであれ、バルテリ・ボッタスは白から黒へと塗り替えられたレーシングスーツに不満を持っている。気温30度を超える炎天下の中で開催されたカタロニア・サーキットでのスペインGP。クルマを降りたボッタスは、66周に渡ったレースで体重が3kg減少したと明かした。
メルセデスはグリッド唯一の黒人ドライバーであるルイス・ハミルトンからの呼びかけを受け、人種差別撤廃への意思表示の一環として、伝統の”シルバーアロー”を封印して今季マシン「W11」をシルバーではなくオールブラックに塗り替え、ドライバーのレーシングスーツ・シューズの色もこれに合わせて黒とした。
昨シーズンのメルセデスF1マシン「W10」は高温に弱点を抱えていた。リスクを考慮した上での事と考えられるが、空力効率を追求した結果としてW10はオーバーヒートしやすく、気温・路面温度が高いコンディションでのレースでパワーダウンを強いられた。
黒色は光の吸収率が高い事で知られるため、W11の”ブラック・アロー化”については首脳陣の判断に疑問を呈する声も上がっていた。だが、チームの戦略ディレクターを務めるジェームズ・ヴァウルズ曰く、エンジンカバーの黒色の塗装の内側には、シルバー層と耐熱層があり、ラジエーターを始めとする車体の温度管理システム上に大きな違いは確認されていないという。
だが、ひょっとするとレーシングスーツには幾らか影響があるのかもしれない。
例年の5月とは異なり8月開催となった今年のスペインGPは、ルイス・ハミルトンが「こんなに暑いバルセロナは初めて」と言うように、今までにない暑さがドライバーを襲った。ボッタスはレース中、無線を通して「この黒いオーバーオールはクソ暑い!」と不満を訴えていた。
ヘルメットを脱いだボッタスは「今年になってから、マシンの中が更に暑くなったと感じてる。オーバーオールの色が変わったわけだけど、直射日光に当たると黒の方が熱を吸収することが知られている。黒と白の温度差が実際にどの位なのか、具体的な数字や事実は知らないけど、今年はクルマの中が本当に暑い」との感想をもらした。
「ホモロゲーションが新しくなった事で、今年のオーバーオールやアンダーウェアは今までよりも厚みが増している。(黒色への変更が)どのくらいの影響があるかは分からないけど、本当に暑かった。だから言ったんだ。このオーバーオールは暑すぎるって。温度的に言えば白の方が涼しいのは確かだろうしね」
「レース中に3キロ痩せた。これは大きい。パフォーマンスに影響を与え始めている」