シャンパン・ファイト
シャンパン・ファイト(英:Champagne Fight)とは、スポーツの表彰式などにおいて表彰台に上った選手・チーム同士がシャンパン、あるいはそれに類するドリンク類をかけあって喜び祝うことを指す。
和製英語というわけでもなさそうだが、英語圏では一般的な呼称ではなく殆ど使われていない。シャンパン・セレブレーション(champagne celebrations)、シャンパン・シャワー(champagne shower)と言われる。
シャンパン・ファイトの始まり
諸説あるが起源はF1とされる。1950年7月2日、ランス・グー・サーキットで行われたフランスGPでファン・マヌエル・ファンジオが優勝した際、地元企業のモエ・エ・シャンドン(Moët & Chandon)がゴール地点に到着したアルゼンチン人にシャンパンボトルを差し出た事がきっかけで、レースとシャンパンの繋がりがスタートした。
実際に”シャンパン・シャワー”なる光景が広がったのは、1966年のル・マン24時間耐久レースの表彰式での事だった。
1960年代前半まで、ドライバー達はみんな礼儀正しくシャンパンを楽しんでいたが、1966年のルマンでコリン・デイビスと共にポルシェ906を駆り、インデックスパフォーマンスで優勝したジョー・シファートに贈られたボトルのコルクが誤って飛び出し、予想外にシャワーが飛んだのだ。
このアクションは翌年、陽気なイタズラ好きのドライバー、ダン・ガーニーによってスポーツ界に定着する。フォードで優勝したアメリカ人は、与えられたボトルを振って1966年のシーンを再現。人々は歓喜したと伝えられている。
モエ・エ・シャンドン
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1999年シーズンまで、F1の公式スポンサーはモエ・エ・シャンドンが務めていた。1743年創業の老舗メーカーは各グランプリに、シャンパンファイト用として毎戦3本のシャンパンボトルを用意。優勝者には銀のボトルが賞品として贈られていたという。
マム・コルドン・ルージュ
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2000年~2015年シーズンはモエに代わって、ペルノ・リカール・グループ傘下のマム・コルドン・ルージュ(MUMM Cordon Rouge)がスポンサーを務めた。MUMMはF1でのシャンパン・ファイトのために年間500万ユーロ(約6億4000万円)を支払っていたらしい。
2017年以降はカルボン(CARBON)が公式シャンパンサプライヤーとしてF1と2021年末まで契約を結んでいる。カーボンファイバー製のボトルが特徴だ。
イスラム圏でのシャンパン・ファイト
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イスラム教は飲酒を禁じているため、バーレーンGPやアブダビGPではシャンパンファイトの際シャンパンではなくノンアルコールのローズウォーターが使われている。シャンパン・ファイトの迫力がいつもとちょっと違うのを見分けるという地味な楽しみ方ができる。