2022年型F1マシンのリア側CG
copyright FORMULA 1

リスティド・チーム・コンポーネント(LTC)

  • Published:

リスティド・チーム・コンポーネント(英:listed team components、略:LTC)とは、各チームが自ら設計・製造しなければならないF1マシンのコンポーネントの事を指す。2022年シーズンのF1テクニカル・レギュレーションで定義されたもので、従来の「リスティド・パーツ」がこれに該当する。

F1は2022年より、パワーユニットを除くF1マシンの全コンポーネントを4種類に分類し、その各々に製造・管理に関する別個のルールを設けた。LTCの他には以下の3種類がある。

技術規定はLTCに分類されるパーツについて「そのデザインや製造および知的財産が、単一の競技者によって独占的に所有・管理されている事」と定めている。

ただし「他者が持つ知的財産や技術を一切使ってはならない」というわけではない。ライバルチームがこれを利用できないようにしさえすれば認められる。つまり、その技術を持つ第三者と独占契約を結べば良い、というわけだ。

誰もが入手可能な公開情報を用いて自らのマシンに反映させる事は許されるが、「リバース・エンジニアリング」を通してLTCを設計する事は禁止される。これはいわゆる”ピンク・メルセデス問題”の再現を防ぐための取り決めだ。

左:メルセデスの2019年型マシン「W10」、最終アブダビGPにて / 右:レーシングポイントの2020年型マシン「RP20」、バルセロナテストにてCourtesy Of

左:メルセデスの2019年型マシン「W10」、最終アブダビGPにて / 右:レーシングポイントの2020年型マシン「RP20」、バルセロナテストにて

ここで言う「リバース・エンジニアリング」とは、写真や画像、3Dカメラや3D立体視技術を使用したライバルチームのコンポーネント解析一般を指す。他チームのLTCと酷似していた場合、FIAがその違法性を判断する事になる。

LTCに分類されるパーツは自らが製造したマシンのみに搭載が許される。つまり如何なる方法であれ姉妹チームに供給したり、提携チームに提供する事は許されない。これには製造を委託した第三者からの横流し等を含む。

以下がLTCに分類されるコンポーネントだ。

  • サバイバルセル
  • プライマリーロール構造
  • フロント・インパクト構造
  • 空力パーツ
  • プランク・アッセンブリー
  • ホイールドラムとドラムデフレクター
  • 燃料ブラダー
  • オイル及びクーラントシステム内の一次熱交換器
  • SECU チーム・アプリケーション