メルセデスF1チームのステアリングホイール、2018年F1アゼルバイジャンGPにて
Courtesy Of Daimler AG

オープンソース・コンポーネント(OSC)

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オープンソース・コンポーネント(英:open source components、略:OSC)とはF1レギュレーションで定義されたパーツ群の事で、ソースがオープン、すなわち他のF1チームよって設計仕様書が公開された誰もが利用可能なコンポーネントの事を指す。コピーし放題。ソフトウェア業界で広く親しまれている手法を取り入れた。

F1は2022年より、パワーユニットを除くF1マシンの全コンポーネントを4種類に分類し、その各々に製造・管理に関する別個のルールを設けた。OSCの他には以下の3種類がある。

コスト削減を目指すスタンダード・サプライ・コンポーネント(SSC)の問題点は、供給されたものをそのまま使用しなければならず、改変できない点にある。これを補うのがOSCと言える。各チームはFIAの指定サーバーに公開された設計情報を無償で取得し、独自に再設計・製造する事ができる。

ただしテストや公式セッションで実際に使用する前に予め、変更後の設計仕様書をサーバーに上げる必要がある。そしてそれは他のチームに公開され、誰もが自由に使用する事ができる。ロイヤリティフリーだ。

OSCに分類されるパーツは以下の通り。

  • フロントフロア構造
  • ペダル
  • DRSアクチュエータ
  • ドライブシャフト
  • フロント・アクスル(ホイールスペーサーとの接触面より外側)及びナット&リテンションシステム
  • リア・アクスル(ホイールスペーサーとの接触面の外側)及びナット&リテンションシステム
  • ステアリング・コラム
  • ステアリングホイール及びクイックリリース
  • ブレーキディスク、ディスクベル、パッド・アッセンブリー
  • ブレーキ・キャリパー
  • リアブレーキ・コントロールシステム(BBW)
  • ブレーキ・マスターシリンダー
  • 燃料コレクター
  • プライマーポンプ及びフレキシブルパイプ・ホース
  • 燃料系油圧レイアウト
  • 消火器
  • ウォータードリンクシステム

メルセデスF1チームのステアリングホイール、2018年F1アゼルバイジャンGPにてCourtesy Of Daimler AG

メルセデスF1チームのステアリングホイール、2018年F1アゼルバイジャンGPにて

OSCに関しては興味深い事に、技術規約を読む限りは必ずしも”参加”しなくて良いように思われる。つまり、ライバルチームのOSC情報が得られない代わりに、自らのOSC該当パーツの情報を公開しないという選択が許されると言う事だ。

ルールには「FIAの指定サーバーに適用される各種条件に同意し、FIAオープンソース・コンポーネント・ライセンスを承諾した希望チームに対して、サーバーへのアクセスを許可する」と言った旨の記述がある。