ダウンフォース
ダウンフォース (英:down force) とは、走行中のマシンに働く空力的な力のうち、垂直方向、つまり地面に押し付ける力の事を指す。フロントウイングやディフューザーなどのエアロパーツによって、前方から流れてくる空気の力を利用する。
F1の真髄はダウンフォース、空力にある。コーナーの旋回速度こそがF1の核心部分であり、他のあらゆるモータースポーツとの差別化要因と言える。
ダウンフォースが重視される理由
コース旋回時には遠心力によってマシンがコーナー外側へと押し出される。これに加えて、高速走行の際にはマシンの下部に空気が吹き混んでくるためクルマが浮いてしまい、タイヤが路面と接地せずグリップを失ってしまう。
何しろF1マシンは軽自動車よりも軽い700kgほどしかないのだ。そのため前に進まなくなる&コーナーが曲がれない、といった事態が発生する。
コレを防ぐために、マシンが走行することで得られる前からの風をウイングやディフューザーなどのエアロパーツで下向きの力へと変換し、マシンを地面に押し付ける。これがダウンフォースである。ちなみにダウンフォースによって得られるグリップをエアロダイナミック・グリップと呼ぶ。
F1マシンのダウンフォース量の半分以上はフロアとディフューザーによるものであり、地面とフロアとの間の空間に負圧を発生させる(グランドエフェクト)事でダウンフォースを作り出している。
飛行機とF1マシン
creativeCommonsOfficial U.S. Air Force
F1マシンのウイングは、飛行機のウイングを逆さまにしたような構造になっている。翼の下に揚力を生み出して飛行機を離陸させる原理の逆バージョンがダウンフォースである。
F1マシンのダウンフォース量
現代のF1マシン(最低重量795kg)は時速150km前後でクルマの重量と同じだけのダウンフォースを発生させている。最高速で走るストレートでは車重3〜4倍の力がかかっている。
つまり、理論上はトンネルを逆さまで走行できる。
ダウンフォースと最高速度
ダウンフォースを発生させるとコーナーの旋回速度は向上するものの、空気抵抗が大きくなるため直線での最高速度は落ちてしまう。そのためチームはサーキット毎にコース特性などを考慮して最適なセッティングを出すように調整している。
ダウンフォースをコントロールするDRS
2011年シーズンより採用されたDRSは、必要に応じて走行中にリアウイングの角度を調整しダウンフォース量をコントロールするシステムである。オーバーテイク促進を目的に導入された。
上述の通り、ダウンフォース量の多いマシンはコーナーでは速いものの、直線では空気抵抗が強くなりすぎてしまい速度が出ない。そのため直線走行時にダウンフォースを恣意的に少なくさせるのがDRSというわけである。