ウィリアムズ家による43年体制に終止符…クレア、F1イタリアGP後にチームから退任
ウィリアムズ・レーシングはF1第8戦イタリアGP開幕を翌日に控えた9月3日(木)、モンツァ・サーキットでのグランプリを最後に、副チーム代表を務めるクレア・ウィリアムズが退任することを発表した。これによりウィリアムズ家は、フランク卿によって設立された英国グローブのチームへの関与に終止符を打つ事になる。
フランク・ウィリアムズ卿とパトリック・ヘッド卿によって創設されたウィリアムズは今年5月、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による財政危機への対処として、チーム売却のための正式な手続きを開始。3ヶ月後の8月22日に、米国の投資会社であるドリルトン・キャピタル・マネジメントLLCが運用するファンド、BCEリミテッドに株式を売却した。
F1チームの指揮官であった父フランクの後ろ姿を追うように、クレアは2002年にコミュニケーション部門のスタッフとしてウィリアムズに入社し、F1でのキャリアをスタートさせた。8年後に同部門の責任者に就くと、2012年にはウィリアムズファミリーの代表としてフランク卿の後を継ぎ、その1年後に副チーム代表に就任。事実上のトップに立った。
2014年と2015年に2年連続でコンストラクターズ選手権3位を果たすなど、一時は名門の名に恥じぬ成績を残していたが、2018年と2019年は2年連続で最下位に終わるなど史上最悪のシーズンを経験。厳しい財政状況の中で迎えた今シーズンは新型肺炎の影響で更なる打撃を受け、外部に資本を求める事となった。
クレア・ウィリアムズは次のように述べ、自身の退任はチームの今後の成功に寄与する正しい決断だと説明すると共に、従業員やファン、すべての利害関係者への感謝を表した。
「チームでの役割から離れることになり、非常に胸を痛めています」とクレア・ウィリアムズは語る。
「今後も長くチームに関与し続け、ウィリアムズ家の遺産を次世代に残すことを望んでいましたが、様々な外部要因の影響で今年の初めに対内投資の必要に迫られ、結果としてチームをドリルトン・キャピタルに売却することになりました」
「我々一家は常にレーシングチームとスタッフの事を第一に考えてきました。売却は正しい決断だったと考えています。ドリルトン・キャピタルには、ウィリアムズの伝統を守りながらもチームをフロント争いに返り咲かせるための適切な人材がいることを私は知っています」
「ドリントンが新しいオーナーとして再出発できるようにするために、私はチームから離れる事を決断しました。難しい決断ではありましたが、これは関係者全員にとって正しい決断だと信じています」
「私はこのチームと共に、F1という素晴らしい世界で成長できたことを非常に光栄に思っています。ここで過ごした全ての時間を愛おしく思っていますし、チームが与えてくれたこのチャンスへの感謝は永遠に忘れません。今はF1以外の世界が私に何を与えてくれるのかを見てみたいと思っています。そして何よりも、家族との時間を大切にしたいと考えています」
「支援だけでなく、私の決断に理解を示してくれたドリルトンにも感謝しています。また、苦しい時も変わらず私たちに寄り添ってくれたファンにも感謝しています」
「ウィリアムズのメンバーは常に家族のような存在でした。困難な時期にあっても、彼らは私のモチベーションを駆り立ててくれました。今後私が最も恋しく思うのは彼らの事でしょう。彼らがこれまでのプロセスに相応しいだけの成功を収めてくれる事を心から願っています。最後になりますが、父がこのチームとスポーツ、そして私たち家族に与えてくれた全てのことへの感謝を表したいと思います」
グリッドの中で3番目に長い歴史を持つウィリアムズは、1977年5月8日にスペインのハラマサーキットで開催された第5戦でF1に初参戦し、以降114回の優勝と、128回のポールポジション、133回のファステストラップを獲得。コンストラクターズ選手権は9度、ドライバーズ選手権では7度世界の頂点に立っている。