シルバーストーン・サーキットのコースを歩くレッドブル・ホンダのアレックス・アルボンとサイモン・レニー、2020年F1イギリスGPにて
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レッドブル・ホンダは何故、開幕3戦を終えた段階でアルボンのエンジニアをサイモン・レニーに変更したのか?

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レッドブル・ホンダは2020年の開幕3連戦を終えて、アレックス・アルボンのレースエンジニアを、マイク・ラッグからサイモン・レニーに変更した。何故シーズン途中の、それも開幕したばかりの段階で配置転換を行ったのだろうか?

2004年にF1でのキャリアをスタートさせたサイモン・レニーは、英国エンストンを拠点とするルノー及びロータスでフェルナンド・アロンソやキミ・ライコネンと共に仕事をした後、2013年にレッドブルへ移籍。2014年から2018年までダニエル・リカルドのレースエンジニアを務めていた。

豊富な経験を持つサイモン・レニーの評判は高く、リカルドはルノーへの移籍を決断した理由の一つとして、彼の異動を挙げているほどだ。クリスチャン・ホーナー代表はシルバーストンで行われた会見の中で今回の人事異動の理由について、マイク・ラッグに掛かる”不当な重圧”を挙げた。

「サイモンはこのチームに長く在籍しており、レッドブル・レーシングではこれまでにマーク・ウェバーとダニエル・リカルドのレースエンジニアを務めていた。彼は2018年末に自らの意志でピットウォールを離れ、それ以降はファクトリーベースの役割を担ってきた」

「だが、現在の我々が抱えているマシンの問題及び、アレックスの経験不足を考慮した結果、アレックスを担当していた比較的経験の浅いレースエンジニアがプレッシャーを受けるのは不公平だと感じた。そのため、シーズンの残りの期間はサイモンに現場の最前線に戻ってもらうことにした」

「我々がアグレッシブにこのマシンの開発に取り組む間に、彼の経験や知識がアレックスの助けになることを願っている」

F1での2シーズン目を迎えたアルボンは依然としてマックス・フェルスタッペンとのギャップを縮められず、時にその能力値に対して疑問の声を投げかける者もいる。それは、レースを共に闘う運命共同体としてのレースエンジニアにも向けられる。

「アレックスに対する批判があったが、それはある意味不当で不公正だった」とクリスチャン・ホーナー代表は続ける。

「オーストリアでの第1レースでは戦略上、ほぼ間違いなく優勝できる立場にありながらもルイス・ハミルトンの接触によって失ってしまい、次のレースでは4位、その次のレースでは5位でフィニッシュしている」

「今年ドライバーに用意したマシンは、現段階で最適化されていないだけでなく、未熟なドライバーにとっては厄介な特性を備えている。まだF1での経験が1年しかない彼に乗りこなせというのは厳しい要求だ」

「しかしながら、こうした状況への彼の対処の仕方や、プレッシャーへの対応は印象的だった。彼に必要なのは時間だけだと思っているし、我々はできる限り彼をサポートするために最善を尽くしている」

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